はじめに

住宅ローンの繰上げ返済プラン

先ほど、「毎月3万円の貯蓄と、ボーナスから70万円の貯蓄をあわせると年間で106万円を貯められる」というお話をしました。2021~2023年はリスク予備資金を貯め、2024年は上のお子さんが高校3年生の年でもあるので、この年に2人分の受験費用を確保します。すると、繰上げ返済を始められるのは2025年からということになります。

2025~2030年までの6年間はお子さん2人が順番に大学に入学して卒業を迎える年となりますが、ここの6年間は学資保険の満期金と、学資保険の積立が終わって浮いたお金や塾代の支払いが不要になって浮いたお金で大学の授業料をねん出します。そのため、年間106万円の貯蓄は教育費に充てないように注意して、代わりに繰上げ返済を始めます。

2031年からは2人目のお子さんも社会人となる予定ですから、教育費負担がなくなります。この時、ご相談者さんは55歳。勤務先にもよりますが、このあたりから昇給に期待が持てなくなる年齢に入ってきます。ご相談者さんの勤務先でももしかしたら収入が伸び悩んだり減少したりすることもあるかもしれません。ただし、この年から教育費負担がなくなるので家計に余裕が生まれる考え、このまま100万円ずつの繰上げ返済を59歳となる2035年まで続けましょう。

現在のお仕事は、65歳まで続けられそうでしょうか。看護師さんは体力的に大変なこともあるかと思いますが、マネープランから考えると65歳まではお仕事を続けて、返済を続けて欲しいです。ただし、60歳からは通常通りに返済をしていくだけでよく繰り上げ返済までは必要ありません。こうすると64歳で住宅ローンを完済できる見込みが立ちます。

現在80歳まで続く予定の住宅ローンですが、このような返済計画を実行すれば、65歳からの年金受給まで住宅ローンを引っ張ることなく、住宅ローンを完済できます。退職金などが受け取れる場合には、さらに老後に余裕が生まれるでしょう。

これから気をつけたいこと

ここまで住宅ローン返済を第一としたマネープランを解説してきましたが、暮らしには他にも想定しておきたい費用があります。一戸建ての場合は普段管理費や修繕積立金を支払っていない分、メンテナンス費用を考慮しておく必要があります。少なくとも、10年ごとに100万円程度の予算を取っておきましょう。また、お仕事を続けるために自家用車が必須であるならば、自動車の買い替え費用も想定しておく必要があります。このほかにも、お子さんの成人式や結婚式費用の援助など、かけようと思えばいくらでもお金は出ていきます。

今後気をつけて欲しいのは、大学の授業料以外はお子さんにお金をかけすぎず、社会人になったお子さんには生活費を入れてもらうなど協力を求めることです。お子さんに入れてもらった生活費の一部を将来の結婚援助資金として活用すれば、住宅ローン返済を続けながらお子さんのお金をお子さんのために活用できます。

それから、無理はしないこと。健康に気をつけて長く働き続けることが何よりもローン完済への近道です。65歳までに住宅ローンを完済できれば、老後の不安はずいぶんと解消できるでしょう。新しい家で家族と力を合わせて頑張ってください。

連載「みんなの家計相談」でお悩み募集中!読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのFPが答えます。相談はこちらから。

この記事の感想を教えてください。