はじめに

日本では早くも金融緩和縮小の動きが

米国を筆頭に世界的に金融緩和の縮小が警戒される中、カナダでは一足先に資産の買い入れ額の縮小が決定されるなど、動きも出始めています。

また日本でも、金融緩和の象徴であった日本銀行によるETF買い入れのルール変更が3月中旬に発表され、徐々に金融緩和の縮小が始まっていると考えられます。従来の枠組みでは、TOPIXの前場終値が前日終値から0.5%下落したことを目安に、後場に約700億円のETFを日銀が購入されていましたが、新年度以降の新ルールでは基準が変更となり、特に5月第2週の連日の大幅安の場面でもETF買い入れは一度もありませんでした。

これにより市場参加者の戦略が早期に変わってくることが考えられます。従来の枠組みで存在した、下落時でも下値では日銀の買いが入るという安心感がなくなるほか、今度はETFの買い入れが止まり売却に転じる”出口戦略”も意識されることで、指数の上値が重くなっていく可能性も秘めているでしょう。これは日本の株式市場にとってマイナスの要因として考慮していく必要があるでしょう。

試しに5月14日までの30営業日でのNYダウと日経平均のパフォーマンスを比較すると、日経平均が約8%ポイントほどNYダウに劣っていることがわかります。これは先に触れた景気の回復歩調の違いもさることながら、米国が金融緩和縮小の表明の先送りを続ける一方で、日本は早くも実質的な金融緩和縮小に動いていることの影響も否めないのではないでしょうか。

日本で行われている中央銀行による株式の買い入れは特殊な政策であり、株式市場へ直接的な影響が大きかったこともありますが、今後、世界的に本格的な金融緩和縮小が行われた場合、同じようなマーケットの反応が各国で起こる可能性があります。今年の年後半は特にグローバルな視点で投資を行っている場合、そのような可能性を考えた上での投資戦略の構築が求められるでしょう。