はじめに

今後のポートフォリオの検討は?

それでは今後はどのような投資戦略を考えていくと良いのでしょうか。銘柄選びとポートフォリオの観点から見ていきましょう。

まずは銘柄選びですが、今までの1年とは選好されるセクターが変わってくると言えるでしょう。特にこれまでの1年間は世界的な低金利を背景に成長株のバリュエーションが高く評価されている中での株高でありました。しかし今後は、経済回復を背景とする米国金利の上昇、世界的なテーパリング開始の本格的な議論を踏まえ、大きな流れとしてはグロース株からバリューへのシフトが本格的に起こってくると考えられます。

もし成長性の高い銘柄をリサーチする場合でも、業績が伸びているという観点だけでなく、業績を踏まえた株価水準が説明できる水準を超えていないかを吟味した上での銘柄選びが求められるでしょう。業種ではすでに上昇を見せている銘柄もあるものの、景気回復局面に強い鉄鋼や造船、金利上昇局面に強い銀行や保険業などの業種のリサーチが利益へとつながるかもしれません。

またポートフォリオ構築の観点では、金や債券などの安全資産へのシフトも強みを発揮するかもしれません。特に米国の物価上昇により、名目金利から期待インフレ率を引いて求められる実質金利が低下傾向にあり、現金の価値下落のリスクヘッジの期待からそのため金利の影響を受けない金の需要は高まっています。

実際に4月に1トロイオンス1,700ドル近辺だった金価格は5月に入り1,800ドル台後半まで上昇しており、今後の金利上昇次第では、昨年夏場につけた2,000ドル台への上昇期待も持てるでしょう。

金融政策に後押しされた相場からの転換点を迎える中で、株式の中では業種のシフト、資産配分の中では安全資産へのシフト等、さまざまなアプローチで資産を守る行動がポートフォリオの強化につながるかもしれません。

<文・Finatextホールディングス 菅原良介>

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