はじめに
貯蓄4000万円では今の暮らしの継続は困難
ご相談者さんは、現在の生活費31万円を今後一生変更しない前提で将来の見通しを立てたいということでした。現在は4,000万円(貯蓄2,000万円、投資2,000万円)を保有していますが、この残高がこれからどう変動するかを考えてみましょう。
転職後の収入は、生活費と同額の31万円と想定しています。「収入=生活費」となるため、45歳で転職した後は65歳で退職するまで貯蓄が一切増えないと考えます。会社には退職金制度がないため退職金で貯蓄が増えることもありません。
65歳以降については、「老齢厚生年金-31万円=毎月の不足額」となります。老齢厚生年金は、現役で働いた期間とその間に納めた厚生年金保険料によって決まります。ねんきんネットにログインすると、これまでの年金加入記録を確認できるだけでなく、これから転職をして収入が減った場合にどの程度、厚生年金額の変化があるのかも試算できます。ぜひ試してみてください。
以前の収入などがわからないので何とも言えませんが、ここでは仮に、老齢厚生年金額が月額15万円、95歳まで生きると仮定して、試算してみたいと思います。
45歳から65歳まで:貯蓄の増減は0円
65歳から95歳まで:(31万円-15万円)×12カ月×30年=5760万円
現在の金融資産は4,000万円(預貯金2,000万円、投資2,000万円)なので、差し引きすると1,760万円が不足することになります。
家賃を見直せば95歳でも黒字にできる
ご相談者さんの暮らしを見る限りほとんど無駄はないものの、1か所だけ気になるのが住居費です。家賃12万5,000円を今後50年間支払うと仮定した場合、家賃だけで7,500万円支払うことになります。これを家賃8万円にできたら、総支払額は4,800万円になり、2,700万円が節約できます。これだけで、老後の不足額が解消できますし、さらに1,000万円近い余裕が生まれます。転職と同時に、家賃の低いところに住み替えを行いましょう。
また、ご実家は親の持ち家ということですから、65歳で仕事を辞めるのを機に実家に引っ越せば家賃負担はなくなります。こうして現役時代の家賃負担を軽くしておけば、将来的に一人暮らしが不安になった時にもケアハウスへの入居など、さまざまなサポートを利用しやすくなるでしょう。
このほかにも、現在ある金融資産4,000万円は、65歳までの20年間ほとんど使わない予定なので、これらの運用益も期待できます。20年間1%平均で運用できれば4,885万円に、2%平均で運用できれば5,965万円になります。