はじめに

FIRE達成時の落とし穴

日本でFIREを達成するには、確認しておいた方がいいことがあります。FPとして何人ものFIRE計画を診断して行く中で、見落としがちなポイントをまとめました。

1)米国と運用益に対する税率が違う為、3%ルールがそのまま適用できない

米国では、株式の利益や配当利益に対して10%の税率が課せられますますが、日本は20.315%となりそもそもの税率が異なります。インフレ率も異なるため、一概に日本が不利とは言えませんが、そもそもの状況が異なるので、FIREの基本的な考え方である年間生活費の25倍の資産を作って、株と債券で運用し4%で取り崩すというだけでは危険が伴います。

2)収入が少なくなると年金が少なくなる。

FIREによって労働収入が少なくなった場合、標準報酬月額が少なくなるため年金が減少する可能性があります。また、年金については今後支給される金額が少なくなっていくことも想定されますので、「現状の年金支給額が、今後も変わらない前提になったFIREプラン」は危険です。

3)会社員をやめても国民健康保険などの支払いがある。

公的年金や国民健康保険の支払いは、働いていなくても支払いが発生します。国民年金の保険料は令和3年では1万6,610円/月となります。つまり夫婦だと年間40万円ほどが発生します。国民健康保険は、市区町村ごとに状況が異なります。公的年金も、国民健康保険も収入が低い場合は支払いが減額や免除されることがあるので個々人の状況にあわせて調べてみるとよいでしょう。

4)住民税は前年度の所得によって決まるので、退職した翌年の支払いが厳しくなる。

住民税は、前年の所得をもとに計算されますので、会社員勤めで収入が合った状態から、急に収入を減らしたり無くしたりすると、税金の支払いが遅れてやってくるので想定外の支払いを請求されることがあります。事前に金額を備えておくとよいでしょう。

5)運用し、確定した利益に税金がかかる

現在、株式などの運用益については、NISA口座やiDeCoなどの非課税枠以外で運用した場合は利益に対して20.315%の税金が発生します。生活費の為に取り崩し、利益確定した時の税金を正確に把握するのは難しいでしょう。

6)将来の増税により、計算が狂う可能性

株式などの運用益に対して、現在の約20%の税金を30%に増税するべきという国会議員もいます。その他、一定の資産を持つ人からは、資産税などを徴収するべきなどの考えもあるため、将来計算が狂う可能性もあります。

7)自由な時間ができたがやりたいことがない

 働かない自由を手にし、いざ「やりたいことをやろう」と思っても実はそれほどやりたいことが無い場合もあります。労働によって貢献ができないと、社会から必要とされない感覚を持ってしまう人もおり、一定の働かない期間を経て、「やっぱり会社員が良かった」と復職する人もいます。

8)身内の理解が得られない

「いざFIRE」と、貯蓄を貯め、資産を築いて年間生活費の25倍の資産を築いても、パートナーの理解を得られずに会社を辞められないケースもあります。夫婦でFIREする場合は事前によく話し合っておくことが重要です。

9)ライフプランを組んでいない

ある程度の資産ができて「FIRE」をすると決めても、いざ退職をする時に不安になって辞められない場合があります。将来にわたって、さまざまなライフイベントを加味し綿密なライフプランを組んでおくとや、前述の見落としがちな増税や年金の縮小なども想定しても大丈夫か考えて置く必要があります。

10)想定外のライフイベントが発生

FIRE後に子どもが一人増えた。
FIRE後に引っ越しせざるを得なくなり、家賃が増えた。
FIRE後に子どもの進路がかなりお金のかかるものになった。
など、想定外のことが起こるのが人生です。この辺りのライフステージの変化やライフイベントに対しても柔軟に対応できるような収入源を確保することや、余剰の資産を持っておくことなどが重要になります。