はじめに

副業からフリーランスとして働く準備もしておきたい

1か月あたりの生活費と年金額を調べてきたことで、老後の収支が大まかに見えてきたと思います。年金の受給が始まる65歳まで仕事を続けて収入を得られると、無収入期間をなくすことができ、老後資金の取り崩しを緩やかにできるでしょう。

ご相談者さんは、WEBデザイナーとしてのスキルをお持ちです。現在は、派遣社員として働いていますが、そのスキルを活かして副業をするという選択肢を考えたことはありますか? 今すぐに副業が可能かどうかは、派遣会社や派遣先の企業との契約状態を確認する必要がありますが、そのあたりの支障がなければ、「クラウドワークス」「ランサーズ」「ココナラ」などのスキルシェアサイトに登録をして、副業を始めてみるという手があります。

また、いまは派遣のお仕事もあって忙しくて副業まで手が回らないということでも、将来的に自分でフリーランスとして仕事を獲得するという手段を用意しておくことで、将来の不安はずいぶん解消できるのではないでしょうか。

金融資産は60歳時点で2800万円以上

続いて、金融資産にも触れておきましょう。ご相談者さんには、現在、投資1,280万円+貯蓄480万円=1,760万円の金融資産があります。このまま60歳までは現在のペースで働き続けて、毎月8万円の積立を継続できたとすると、これから元金だけで8万円×12か月×11年間=1,056万円が上乗せできることになります。60歳時点の金融資産は、運用益を考慮せず2,816万円になりますね。

60歳までは現在の手取り月収23万円を目標に働いて月に8万円を積み立て、その後60歳から65歳までは貯蓄分を減額した手取り15万円を得られるように働くと、65歳時点では、2,816万円+αの預貯金を持ちながら、年金生活に入れるようになります。

年金の繰り下げ受給をすれば増えた年金を一生もらえる

このまま65歳から年金を受け取ってもいいのですが、年金は受け取り開始時期を遅くする「繰り下げ受給」をすると毎月の年金額を増やすことができます。例えば、5年間受け取り開始を遅くして70歳からの受け取り開始とすると、年金額が42%増額となります。2022年4月からは制度改正により、75歳まで年金受給開始を繰り下げることで、年金額を84%増やすことができるようになります。繰り下げ受給で増えた年金は、生きている限り一生もらうことができるので、長生きに備えやすくなります。

連載「みんなの家計相談」でお悩み募集中!読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのFPが答えます。相談はこちらから。

この記事の感想を教えてください。