はじめに

マイホーム購入は節税面でも「アリ」な選択

では、そんなご相談者さんにとって、マイホーム購入は賢い選択となるのでしょうか。

31歳の独身女性、という点だけを見ると、多くの場合、マイホーム購入をお勧めしません。なぜならば、頭金として十分な資産を持っていないことが多く、近い将来、結婚や出産などによりライフスタイルが変わる可能性も大きいからです。そういった場合は、ライフスタイルが固まり、頭金がたまるまで待った方がいいでしょう。

その点、ご相談者さんの場合には「結婚の予定はない」と価値観がはっきりしています。さらに、年収や預貯金の額も問題ありませんから、単身用のマンションを今持つことに大きな支障がありません。

さらに、税金面でのメリットもあります。独身ですから、配偶者控除や扶養控除など家族のための税金の控除が利用できないほか、家族のための生命保険が必要ないことから生命保険料控除もあまり利用していません。賃貸暮らしで住宅ローン控除も利用していないこともあり、税金をかなりしっかりと納めているはずです。これからマイホームを購入して住宅ローン控除を利用することができれば、大きな節税メリットを得られるでしょう。

収入減のリスクに備え将来貸しやすい物件を選ぶ

住宅購入を検討するにあたっての懸念材料としては、将来的な収入減少があります。いざとなったときに人に貸したり売却したりしやすい物件を選びつつ、支払い余力のある形で住宅ローンを組むことで対応していきましょう。

ここで、ご相談者さんの家計を見ていきましょう。手取り月収は49万円。このうち約30万円を支出して、5万円を毎月貯蓄しています。残りの14万円については明記されてはいないものの、31歳で投資残高が500万円以上あり、今後についても投資意向が強いことから、投資に回っていると思われます。また、毎月の30万円の支出のうち、12万円が家賃として支払われています。

現在、東京の都心にお住まいということですから、購入の場合も都心を希望されると思います。現在、都心のマンションは高騰しているため、エリア、築年数、広さ、予算などとのバランスを見ながら、物件を選んでいくことになると思います。

5000万円の物件を購入した場合、月の支払いはいくら?

ここでは、あくまでも一例として、都心で単身用のマンションを5,000万円で購入するとして考えてみましょう。

現在、預貯金と投資で2,045万円お持ちです。ここから1,000万円の頭金と、その他諸費用を支払います。住宅ローンは4,000万円を35年ローンで支払うとしましょう。金利0.5%とした場合、1か月の返済額は10万3,834円となります。購入した場合、ここに管理費や修繕積立金が上乗せされます。マンションの規模や築年数、付帯サービスなどによって大きな差が出る部分ですが、ここでは仮に両者合わせて3万円としておきましょう。この場合、住居費負担は毎月13万3,834円となります。現在の家賃負担が12万円ですから、いまよりも1万4,000円程度の負担増となります。

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