はじめに

住宅購入のメリットは?

住宅購入のメリットの一つとして、「母親にもしものことがあったとき子どもに家を残せる」ということがあります。

それは、住宅ローンを利用した場合、多くの金融機関が借入れの条件としている「団体信用生命保険」へ加入することで契約者である母親が死亡・高度障害となった場合、保険金が下りて残りの住宅ローンの支払いがなくなるからです。

養育費を除く手取り収入の4分の1ほどを占める住居費の負担に、「このまま賃貸に住み続けてもいいものか」と悩むところですよね。2,500万円程度の住宅を購入しても教育費と老後資金の確保ができるかどうか試算してみましょう。

今と変わらない住居費の返済プランでいくと完済は71歳

住宅ローンの一般的な最長借入期間である35年で組んだ場合、ローンの完済年齢は76歳となり年金暮らしとなってからも返済が続くことになります。
そこで、現在の住宅費と変わりなく65歳まで(相談者様の退職年齢と仮定)に支払いが終了するようにプランを組んでみました。

【前提条件】
・民間住宅ローンを利用(りそな銀行3月金利を参照)
・借入金額2,000万円、頭金500万円、諸費用100万円
・全期間固定金利0.995% 返済期間30年として試算
・65歳時に残金を一括繰り上げ返済の予定

2,000万円の住宅ローンを組んだ場合、1カ月の返済金額は6万4,821円となります。ローンの完済は71歳ですので、年金からの支払いをなくすためには65歳時の残金450万円を一括返済できるよう準備する必要があります。

現在の貯金総額2,000万円から頭金と諸費用へ合計600万円を充当します。残りの1,400万円から老後資金としてつみたてNISAに800万円を振り替えていき、生活防衛費170万円を除いた残り430万円は最終的には老後の資金に充当していくものと考えます。

繰り上げ返済はボーナスを積立てて

退職時に繰り上げ返済する原資はボーナスの積立てから準備します。現在のまま60万円を65歳まで変わらず積み立てることができれば1,440万円ですので、450万円を返済に充てても1,000万円は老後資金に回すことができますよね。とはいえ、ボーナスには変動がつきもの。住居の維持費、生活費の上昇もあり現状と同じように貯蓄に回すことができないかもしれません。

住宅ローンを組むことで、保障内容によっては年払いの保険料を安くすることもできそうです。支出の見直しを行い、少なくとも退職までにボーナスから950万円ほど貯めることを目指しましょう。そうすれば、住宅ローンの一括返済ならびに老後資金2,000万円を確保することも夢ではありません。

完璧は求めず、できる範囲で

老後資金は相談者様の公的年金や生活水準をどこに置くかで準備する金額も変わってきます。参考数値としていただければ幸いです。

小学生2人のお子さんを社会人とさせるまでには、まだまだ時間がかかります。何よりも相談者様が健康で長く収入を得られることが大切です。あれもこれもと完璧は求めず、予算を決めてその範囲でできるライフプランを描いてみてください。お庭から笑い声が聞こえるような素敵なマイホームと出会えることを願っています。

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