はじめに

子育てに数年専念して、パートで職場復帰した場合の家計

制度が整っていても、本人の希望や状況によってしばらく子育てに専念したくなることもあるかもしれません。そこで、出産をしてから数年間は子育てに専念をして、その後パートとして職場復帰をした場合の家計についても考えておきましょう。

ご相談者さんが家事子育てに専念した場合、その間は、夫の収入だけで生活することになります。現在、税込み年収はご相談者さんが400万円、夫が450万円ですから、収入比でみると47%と53%になります。お二人の手取り年収は合計640万円ですから、これに53%をかけた339万円が夫の手取りと考えましょう。

一方、現在の生活費は年間424万円でしたから、夫の片働きになると、手取り収入339万円-生活費424万円=-85万円。年間85万円の赤字になります。今できている貯蓄や投資もできなくなります。ご相談者さんがいずれパートに出て年間100万円程度稼ぐようになると、貯蓄はほとんどできないものの、赤字がなくなり生活を維持できるようになります。

なお、お子さんが生まれるとおむつ代やミルク代、洋服代などの養育費がかかりますが、子ども手当も支払われます。また、子どもが3歳から5歳のうちは、幼児教育の無償化制度もありますし、公立の小中学校であれば授業料もかかりません。現在29歳、30歳と若いご夫婦ですから収入には伸びしろがあります。世の中の状況が落ち着いていけば今よりも収入は上がっていくでしょう。

パートを継続なら教育費や住居費は今ある貯蓄を取り崩すことに

ここからは長期的な視点でライフプランを考えていきます。今後の家計で大きな支出となるのは、教育費と住居費です。離職期間を経てパートとして再就職をする場合、ほとんど貯蓄ができないので、住宅を買う場合には、今ある貯蓄から住宅の頭金を出すことになります。教育費は、塾代などは日々の家計からねん出し、教育費の積み立てもしていきますが、それでも大学資金が足りない場合は、やはり貯蓄を取り崩して出すことになります。

現在お持ちの金融資産は以下になります。

・貯蓄:400万円
・投資:100万円
・生前贈与:1,300万円
【合計】1,800万円

現在、金融資産は1,800万円ありますが、例えば、住宅購入時に頭金として800万円、大学の教育資金として500万円使うとすると、生前贈与を受けた1,300万円はあっという間になくなります。今後、貯蓄が増やせないとなると、退職金がないお二人の場合、老後資金が不安になるでしょう。

老後資金を貯める2つの道

老後資金を貯める方法には、大きく2つの道があります。1つめは、子育て終了後の「貯め時」を有効活用すること。ご夫婦は現在29歳と30歳ですから、2〜3年以内に出産すれば、子どもが大学を卒業した後でも50代前半です。65歳まで働くとしたら、子育て後に10年以上働ける期間があるので、ここで老後資金を一気に貯めることができるでしょう。

2つめは、やはり、出産後も正社員共働きを続けることです。育休の前例のなさに諦めることなく、当然の権利として仕事を続ける方法を模索しましょう。もしもそれを望まない場合には、パートから早めに正社員として復職、転職する方法もあります。出産後も正社員として共働きでいられれば、貯蓄や投資が再びできるようになり、老後資金を貯められるようになります。

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