はじめに
共働きの現在は貯蓄率30%超の貯蓄体質
まずは、現在の家計の状況からみていきましょう。現在、ご相談者さんが30歳、夫が29歳で、お二人ともアパレルのお仕事についています。年収は、ご相談者さんが400万円、夫が450万円あります。税込み年収だとわかりにくいので手取りに注目すると、手取り月収がお二人で45万円、手取りボーナスが年間100万円のため、年間の手取り収入は45万円×12+100万円=640万円になります。
続いて支出です。1カ月の支出が32万円、ボーナスからの支出が40万円のため、年間の支出は32万円×12カ月+40万円=424万円になります。
貯蓄や投資は、毎月12万円(預金4万円、投資8万円)、ボーナスから60万円がほぼ決まってできている金額です。年間では、12万円×12カ月+60万円=204万円になります。
【手取り年収】45万円×12カ月+100万円=640万円
【支出】32万円×12カ月+40万円=424万円
【貯蓄・投資】12万円×12カ月+60万円=204万円
共働きを続けている現在は、手取り年収の30%以上を貯蓄や投資に回せている貯蓄体質な家計となっています。
産休・育休制度をおさらい。まずは正しい知識を
ご相談者さんの心配ごとは、ご夫婦の収入減少でした。ご相談者さんについては、いまのところ問題はないものの、「子どもができたとき、会社独自の育休制度がなく、育休実績もないので、年収が単純に半分になるので不安」「育休が終わるとバイトとして再雇用の可能性大」ということでしたね。それにコロナの影響による夫の収入減少も気になっています。
まずはご相談者さんの不安を解消すべく、出産子育てに関する先に国の制度について解説をさせてください。
働く女性は出産予定日の前後に、産前産後休暇(いわゆる産休)を取得できます。出産予定日前6週間、出産後8週間になります。産休が終わると、そのまま育児休業に入ります。産休は子どもが1歳の誕生日を迎える前日まで取得できることになっていて、保育園に入れない場合などは、1年6カ月まで延長が可能です。それでも保育園に入れない場合には、2年まで延長できることになっています。保育園に入所するタイミングや保育環境が整っていて早く職場に戻りたいなどの場合は、育児休業期間を短縮することも可能です。
産休中は健康保険から「出産手当金」が健康保険から支払われます。金額は1日当たり給与の三分の二を産休の日数分もらえます。育休中は雇用保険から育児休業給付金が支払われます。金額は、最初の6カ月間が給与の67%、それ以降は50%となっています。これらの休業中は税金や社会保険料の負担はありません(前年の所得に対する住民税は支払います)。会社にとっても給料を支払う必要はありません。
産休・育休は誰でも取得する権利がある
ご相談者さんは、会社独自の育休制度がないとおっしゃっていますが、ここまでは国が定めている制度ですので、前例がなくても取得する権利があります。また、男女雇用機会均等法では、出産を理由に女性社員を解雇することや、正社員からパートなどへ転換させることを禁じています。
育休取得の前例がない会社の場合、会社や上司がこうした知識を持ち合わせていない場合があります。また、上司が子どもや女性社員の体を「案じて」、配置転換や退職を勧めてくる場合もあるかもしれません。自分を守るためにも、まずは正しい制度の知識を持ちましょう。そして、ご自身と同様に、会社や上司も不安を抱えていることを理解して、ていねいにコミュニケーションをとっていきましょう。子どもも仕事も手放さない道を探ってみてください。
なお、育児休業は女性だけでなく男性も取得可能です。以前に比べて男性も育児休業を取りやすいように制度改正がなされているので、夫とも協力し合いましょう。