はじめに
住宅費用が支出の30%以上を占め、家計を圧迫
まず家計の全体像を見ていきましょう。手取り収入が30万円/月、ボーナスが110万円/年なので、合計で年470万円の手取りがあります。一人暮らしをするには十分ですね。
支出は27万円/月で、貯蓄目標が5万円ということなので、予定通り貯蓄は貯まっていないようですが、ただ、それでも3万円は貯蓄ができており、赤字になっているわけではありませんので、想定通り貯蓄ができないことを「毎月赤字」というのは誤解を招きますね。
住居費は住宅ローンの返済額が8万2,000円と、管理費・修繕費で1万6,000円がかかっているので、合計9万8,000円になります。手取り収入30万円の30%以上を住宅費に払っていることになるので、かなり高い状態です。これに固定資産税が加わるので、実際にはもっと高い比率になります。住宅費は支払いを止めることのできない固定費ですので、他の支出を抑えていかないと貯蓄が貯まらず苦しくなる可能性が高いでしょう。また、管理費・修繕費は時間が経つと負担が増えていく可能性が高く、住宅ローンは変動金利で借りているので金利も上がる可能性もあります。将来さらに住宅費にかかることを念頭において、対策を練る必要がありそうです。
今の家に住んでいたら老後破綻の危険が!
残りの返済年数が38年となっているので、おそらく約2年前に40年ローンを組んだのでしょう。最近では35年を最大期間とせず、40年ローンを提供する銀行も増えてきました。しかし、多くの方にとって40年は長すぎると思います。40年かけなければ返済計画が立てられない場合、その物件価格のローンを組むことが危険だという目安とも言えます。
繰り上げ返済しなければ返済完了は80歳前後になるので、老後の支払いはかなり厳しいものになるでしょう。相談文から、10年で1,000万円の繰り上げ返済を考えているようですが、そのためには年に100万円(毎月8万3,400円)の貯蓄が必要になります。現在実質的に3万円の貯蓄しかできていないので、5万円以上の乖離があります。
ボーナス110万円を繰り上げ返済の資金に充当できますが、住宅ローンのボーナス払いも23万円が2回あり、110万円のボーナスから46万円を引くと64万円しか残りません。これだと、月々3万円の貯蓄と合わせてギリギリ100万円ということになります。この先20年以上貯蓄ができない場合、老後資金がかなり厳しくなります。つまり、このままでは、老後破綻の引き金になる可能性の高い家に住んでいることになります。この状態から脱却するためには、マンションを売却して借金を返済するか、他の支出を大きく見直してリカバリーする必要があります。
マンションを売却する場合は、借金の残債に対して売却額が上回っているかどうかが重要です。情報を集めるためにも、複数の不動産仲介業と連携をとり、適正な売却価格を見極めるようにしましょう。