はじめに

(1)減額された支給額が生涯続く

繰り上げ受給の最大のデメリットは、減額された支給額が生涯続くことです。年金は1ヶ月繰り上げるごとに0.4%減額となるため、もし最長5年早めて60歳から受給開始すると24%減額になります。そしてこの減額された支給額は生涯続くので、長生きすればするほどその差はどんどん開いていきます。

(2)障害年金が受給できなくなる

病気やケガなどで障害の状態になって、生活や仕事に制限が出た場合、給付要件を満たせば障害基礎年金が受給できますが、年金を繰り上げて受け取っていると、障害基礎年金は請求できません。障害基礎年金は受給額が手厚いうえに、高齢になるほどケガや病気のリスクが高まります。

(3)国民年金の任意加入ができなくなる

以前は、学生が強制加入でなかった時代があったため、60歳になっても国民年金の保険料を納めた期間が40年(480ヶ月)に満たず、老齢基礎年金の額が満額受け取れない人がいます。これらの人は60歳以降に任意加入することで年金受給額を増やすことができますが、繰り上げ受給し始めたときから「年金受給者」の立場になるため任意加入できなくなります。

このように、繰り下げにしても繰り上げにしても、いったん受給を開始するとその後に変更はできません。予め、これらの注意点やデメリットを鑑み、よく考えて決めてください。こうしたシミュレーションをするのに、日本年金機構の「ねんきんネット」が便利です。「ねんきんネット」のマイページに今後の年収と働く期間を設定すると、いつからどれくらいの年金がもらえるか計算できますので、ぜひ試算してみてください。

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