はじめに
まずは家計チェックから 家賃天引きのメリット・デメリット
まず家計全体を見ていきましょう。手取り月収は19万5,000円ですが、家賃8万5,000円
が既に天引きされているようです。最近では福利厚生として社宅を導入することで、給与から家賃分を引き、手取り収入や標準報酬月額を下げているケースがあります。標準報酬月額が下がると、社会保険料が下がり会社の負担も減ります。また所得も下がるので所得税や住民税も下がり、個人の負担も減る場合があります。
普通に家賃を払うよりは手取り収入が増えるのでよいことだらけに見えますが、将来の年金額も少なくなります。その分をしっかりと貯蓄したり運用して自分で備える意識を高めておくとよいですね。相談者様の場合は、老後に向けた資産家性もしっかり考えているので問題ないでしょう。
生活支出全体をみても、節制されており無駄が少ない家計です。交際費や衣服美容にかかるお金はある程度高いですが、今しか経験ができないこともありますし、収入に対して過剰な金額ではないと思います。
唯一考え直したほうがよいのが保険
ただ、唯一考え直した方がよいのが「保険」ですね。
貯蓄型のドル建て終身保険に1万3,000円と、医療保険・がん保険に5,000円加入していますが、私はどちらも不要だと思います。
ドル建て終身保険は、その実態は「手数料の高い投資信託」と「保障の薄い保険」の抱き合わせ商品です。また「予定利率や積立利率が3%」などと提示されることが多いですが、この予定利率や積立利率は、支払っている保険料の全額にかかるわけではなく、「保険会社が決めた一定の割合のみがこの利率で回った場合」という、極めて不透明なものになります。実態は支払っている保険料の1/5以下しか3%で運用されていないこともよくあるのです。
つい銀行預金の金利と比べてしまい、保険の利回りが高いと感じてしまいますが、注意する必要がありますね。また、長期にわたって資産拘束を受けるので、使い勝手が悪い金融商品でもあります。同じく長期で積み立てるのであれば、手数料の安い投資信託のほうが有利ですし、保障が必要になれば、効率的な保険に入ったほうがよいでしょう。
医療保険は不要?
また、医療保険も、資産を460万円以上持っているので、私は不要と考えます。公的保険で医療費は3割負担ですし、高額療養費制度もあります。医療費は支払い額が限定されており、不足分も十分に資産から支払えますね。また、医療保険やがん保険は「入院したら」「手術をうけたら」「抗がん剤を使ったら」「放射線治療をしたら」など、保険がおりる条件が決まっています。
将来医療が進化し、「通院しながら投薬で治す」「自宅で治療し自宅で休む」などという世界観になったら全く保険がおりないこともあり得ます。病気になることは怖いので、無防備でいようということではなく、既に公的保険に加入しているということを理解し、将来の備えは現金や資産でフレキシブルに対応していきましょう。
未来がどうなるかわからないからこそ、「用途を限定されず、どのようにでも対応できる」状態を作ることが重要だと思います。