はじめに
急速に進む「円安」をめぐって、日本経済にとって円安が「良いのか」「悪いのか」の議論が絶えません。さまざまな議論をめぐり、「結局、円安ってどうなの?」と“混乱”している方が多いでしょう。この混乱こそが、金融を難しく感じさせる要因の1つだと思います。
そこで、今回は円安の悪い側面、良い側面をそれぞれきっちり解説していきます。
金融・経済には「色んな立場の人がいる」
金融や経済がよく分からない、難しいと感じる方も多いでしょう。私も学びはじめた時に、最初に苦しんだ壁です。金融・経済を難しく感じる要因に、1つの物事を取っても立場の異なる見解を持つ人がたくさん存在するということです。学生時代であれば、1つの物事に対しての答えは1つであることがほとんどです。しかし、現実社会と密接している金融・経済において、答えは1つではありません。
例えば、新聞を思い浮かべてください。冒頭で紹介されている識者は「円安はデメリットだ」と論じ、後半でコメントしている識者は「円安はメリットだ」と述べている記事を見たことはないでしょうか? 金融を学び始めた時に、最も混乱したのが識者によって意見が異なる点でした。でも、そういうものなのです。1つの事象を取っても、様々な立場の人が様々な意見を述べるものなんだ−−むしろ、それが正常なのだ、と腹落ちするまでに時間がかかりました。
新聞やメディアで識者が円安のメリット・デメリットを解説してくれていますが、それらは考える視座を与えてくれているのであって、最後は自分で受け取り、自分ならばどう考え、どう行動するのか、意見を持つことがゴールなのだと思います。