はじめに

PER、PBRは、あくまでも参考の数値。それを理由に売買してはいけない

株価や金利は経済のファンダメンタル、会社の業績などを反映するもの。中長期的にはそこから大きく逸脱しないなどと言う人がいます。

それを考慮してでしょうか、投資、特に株式投資をする時にはPERやPBRを用いて買い時かどうかを決める人がいます。

PERとはPrice Earnings Ratio、株価収益率のことです。株価が1株当たりの純利益の何倍で売買されているかを考えて投資尺度にする考え方です。

わかりにくいでしょうか? 例えば、100円する株式で、毎年10円の利益(儲け)を出している会社と、500円で50円の利益を出している会社、これはPERは同じです。この数字だとわかりやすいですが、例えば、1769円の株価で156円の利益を出している会社と、3260円で277円の利益を出している会社を比較するのは、計算機が要りますね。つまり、株価も利益もそれぞれの会社で違うので、株価に対して、利益が何倍あるのかを数値にしているというわけです。

これで、現在の株価が企業の利益水準と比べて割高か割安かを判断するわけです。もちろん、数値が低いほうが割安と判断されます。本当に多くの人が、この数値を大切にしていますし、投資信託なども売買の判断材料にも用いているので、私たちもどのくらいなのかを知っておくのは決して悪いことではありません。ですが、この1株当たりの純利益というのは、会社が発表する当期の利益予想の数字を使うのが一般的です。

しかし、今まで、この利益予想がどれだけ変更されてきたことでしょうか。

株式を買ったあとに利益の下方修正がされて、慌てても遅いです。逆に買ったあとに予想以上に利益が出る場合もあります。

また、PERが高くても売買されているということは、それだけ、ああ、この会社は将来はもっと伸びていくから割高なPERでも投資家は買っているのだ、ということも言えるわけです。PERが低くて割安に見えても、多くの人が、この会社はもっと利益が下がっていく、会社の将来性がないと思っていて買っていない。PERが割安であるのは、それだけ投資家が期待していないということの表れかもしれないのです。

ですから、PERが安い、高いと、それだけを材料に売買を決めるのはやめておくのが無難です。

しかし、一般投資家から巨大なファンドマネージャーまでPER、PERと口にします。ちなみに、PERが10倍以内であれば比較的安値圏にあると言われたりします。

はっきり申し上げます。こんな数値にあまり囚われていると決して儲けることはできません。PERが低いものを買い、PERが高いものを売っていれば儲かるのであれば、そんな簡単な投資はないのです。

投資をすれば、儲かるかもしれないし、大切なお金を損するかもしれない。だから買うかどうか迷う。しかし、金融関係者はとにかく買ってほしい。だから、PERは迷っている人の背中を押すための説得材料に用いられる数値なのだ、くらいに思っておくのが賢明です。

株式評論家や証券会社のセールスマンも、買ってほしい会社の株式がある時には、PERが低くて買い時ですよ、と言い、高い時には、PERが高くても買われる人気の株式で将来性が見込めて、買い時ですよと強調する。高くても低くても思惑一つでどちらも買い時のセールストークに使えるのです。こういうのを二枚舌と言うんでしょう。そして、こんなことを書くから私は証券会社から嫌われるんでしょうね(笑)。

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