はじめに

経済的自立を確立し、早期退職を目指す「FIRE」が注目を集めています。実現するには、どのような方法があるのでしょうか?

登録者数10万人超えのYouTube・聞いてわかる投資本要約チャンネルを運営するタザキ( @tazaki_youtube )氏の著書『お金の名著200冊を読破してわかった!投資の正解』(クロスメディア・パブリッシング)より、一部を抜粋・編集してFIREを達成するための3つのポイントを解説します。


FIREを達成する方法

近年話題のFIRE(Financial Independence, Retire Early)を目指している方もいるでしょう。FIREはもともとアメリカで生まれた概念で、それが日本でも話題になり、多くの翻訳本がヒットしました。しかし、それらはアメリカの税制や年金制度に基づいて書かれており、翻訳されても参考にならない部分があるのも事実です。

この項では、アメリカで生まれたFIREの基本的な概念と、日本人としてFIREを目指すために考えるべきことを検討します。

FIREの基本は、トリニティスタディと呼ばれる研究論文の中で述べられた「4%ルール」に基づいています。資産の4%で年間生活費をまかなえば、資産のリターンが引き出し率を上回るので、元本を減らさずに一生過ごしていけるという考え方です。FIREを達成している方は、投資可能額か運用利回りのどちらかが大きく突出しているので、FIREに必要な金額を達成しています。

投資可能額(収入‐支出)×運用利回り=資産評価額

これを大きくするためには、平均を大きく上回る収入があるか、仙人のような節約生活をしているか、集中投資で大成功するなどして運用利回りが飛び抜けているかのいずれか1つ以上、またはそれらをバランスよく組み合わせる必要があります。

日本人のFIRE事例をいくつかご紹介しましょう。

例えば、日本人FIREの先駆者の一人とされている三菱サラリーマン氏が挙げられます。30歳でのFIRE達成者です。彼は収入の8割を投資に回し、お金をあまり使わずとも、自分が心地よいと思える生活習慣を確立していました。プライベートの出費が、月に2万円以下の月もあるということでした。

47歳でFIREを達成したおけいどん氏は、資産1億円でリタイアしましたが、FIRE後の月間支出は6万円~8万5000円程度だそうです。お二人とも、お金を使わなくても満足できるライフスタイルを築いているようです。

2019年にセミリタイアをしたカリスマ投資ブロガーたぱぞう氏は、資産がある程度の規模に育つまでは集中投資で増やしたようです。それには相当な経験と知識が必要とされ、失敗したときのダメージは大きいものだったでしょう。

以上のように FIREを達成した方は、「収入」「支出の少なさ」「運用利回り」のうちのどれか、もしくは複数が突出しています。 これはFIREにおいて重要なポイントです。これらのうち何かが突出していれば、年間生活費の25倍の資産をつくることは可能なのです。

しかし、若い年齢で年間生活費の25倍を用意するのはなかなか簡単ではありません。月の生活費を25万円使うとしたら7500万円、月30万円なら9000万円が必要という計算になってしまいます。一般的に、かなりの大金といえます。

収入が平均的で、ハイリスクな投資をしないとすると、若い時代の経験にほとんどお金を使わずに、収入をひたすら投資に回してようやく達成できる数字かもしれません。実際FIREを目指して節約生活を頑張っている人もいるかもしれません。しかし、本当にそれであなたは満足のいく生活を送れるのでしょうか。

トリニティスタディによれば、「株式:債券比率=75:25」、引き出し率4%で30年リタイア生活を送った場合、30年後の資産額は平均で9倍、中央値でも8倍以上に増えることになっています。50歳のときに7500万円の資産をもってFIREしたとすると、80歳で6億円以上が残っていることになります。資産をとにかく最大化させることに、私は違和感を覚えます。せめて、まだ体が動く50代、60代のうちに、たくさんの思い出をつくるために使うべきなのではないでしょうか。正直な話、80歳まで6億円もとっておいて、一体その人は何に備えているのかと疑問に思います。残りの人生でそのお金を使い切ることは、まず無理でしょう。

大前提として、たしかに少しでも安心するために、年間生活費の25倍以上を貯められるに越したことはありません。収入・支出の少なさ・運用利回りのどれかを突出させて、実際に貯められる人もいるのでしょう。しかし、多くの人はそうではありません。それで若い時代を犠牲にしすぎることになるならば、もっとゆとりのある計画を検討すべきではないでしょうか。

また、この4%ルールは非常に優れた考え方ですが、年齢や年金は一切考慮されていません。30代でFIREしたいならば、残りの寿命はとても長いので、働かなくても半永久的に生活できるくらいの状態でないと精神的にも不安になってしまうでしょう。

しかし、50代で引退する「プチFIRE」なら、もう少しハードルは下がります。

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