はじめに
リセッションに強いセクター(2)ヘルスケア
2つめのセクターは、ヘルスケアセクターです。ヘルスケアセクターは一般的に暴落時にも下落しにくい、ディフェンシブのセクターと言われます。
米国では医療支出の割合がGDPの10%超となっており、世界各国の経済に占める割合も大きい巨大な産業といえます。世界的な高齢化も年々加速しており、その市場の需要や規模の拡大は今後も続くと考えられます。景気が悪くても医療支出というのは削減しにくいでしょう。
ヘルスケアセクターの代表的なETFとして、ヘルスケア・セレクト・セクター SPDR ファンド(XLV)、バンガード米国ヘルスケア・セクター(VHT)、iシェアーズ グローバル・ヘルスケア(IXJ)、ヴァンエック医薬品ETF(PPH)をあげます。
どこから計測するかで変動もありますのであくまで目安ですが、パフォーマンスをおおよそですが10年と5年で比較すると、XLVが1番良く、ついでVHTとなっています。この2つのETFはXLVが1番歴史が古く、総資産額も最大です。一方で経費率はVHTが最安で、さすがバンガードという印象です。
TradingViewより
VHTは、MSCI USインベスタブル・マーケット・ヘルスケア・インデックスに連動する投資成果を目指すETFです。指数を構成し、指数のウェイトと同比率で保持する株式に資産のすべてを投資していますので、分散効果もしっかりしています。Bloombergによると、10月20日(木)時点での直近配当利回りは1.44%、経費率は0.1%です。VHTの投資信託組入れ上位銘柄から2銘柄を紹介します。
組入れ銘柄首位のユナイテッドヘルス・グループ(UNH)は医療保険やヘルスケアサービスなどを提供するグローバル企業で、米国最大級のヘルスケア企業です。企業の雇用者や中小企業向けに医療保険・サービスを提供するほか、ニーズに合わせて予防ケアプラン、遠隔診療、処方薬給付などのサービスも提供しています。アメリカで受給資格がある人のみが受けられる公的医療保険制度のメディケアや、メディケイドの受益者サービスの提供、医療システムのデジタル化支援もしています。米バリュー株の代表格のひとつと言っていいのではないでしょうか。
2番目のジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)は世界最大級のヘルスケアカンパニーで、医薬品の研究開発から製造、販売を中心に医療機器や日用品まで幅広い事業ポートフォリオを有しています。医薬品、医療機器・診断、消費者の3部門で構成されていて、それぞれが分かれていることで効率的な経営がされている企業です。日本では「バンドエイド」や「ジョンソン」ベビー製品などの消費者向け製品や、使い捨てコンタクトレンズ「アキュビュー」などで有名ですね。
今回は米国ETFと米企業を紹介しましたが、日本株投資をされている方は、日本でも公共事業やヘルスケアの企業をチェックしていただけると、銘柄選びの役に立つかもしれません。皆さまの投資判断の参考になれば幸いです。