はじめに

これまでの改善の歩み

避けるべき自動移換ですが、2017年のiDeCo大改正後は、iDeCoの加入資格対象者が拡大したことによって、自動移換は自分自身が適切な手続きを知っていれば、陥らなくても済む落とし穴になりました。

というのも、以前は第3号被保険者には加入資格がありませんでした。従って、iDeCo(当時はこのニックネームもついていませんでしたが)に資産を移換したとしても、加入資格がないため積み立てを継続することができず、運用指図者にしかなれませんでした。するとそこにモチベーションを感じず、そのまま放置した人も少なくありませんでした。

また転職を繰り返すと、企業型DCからiDeCo、iDeCoから企業型DCと移換を繰り返さなければならず、それが面倒といつしか放置という人もいました。当時は企業型DCとiDeCoの併用加入が認められなかったので、そうならざるを得ない環境でした。2017年になり、企業型DCに加入しながらiDeCoの口座を持ち続けることができるようになりましたが、2022年の9月までは、原則加入が認められなかったので、やはり運用指図者にしかなれなかったので、iDeCo併用加入が認められるようになったという改正はとてもメリットが大きいのです。

さらに、企業型DCもiDeCoも含め加入者データをとりまとめている記録関連機関も「名寄せ」といって、自動移換者データと新規加入者のデータを突合する作業をしています。例えば、かつて自動移換された資産を持ちながら、転職先で企業型DCの加入者になったとか、自動移換された自覚もないままiDeCoに新規加入をした人が対象です。日本には記録関連機関が4社しかないので、そこが協力しあって自動移換者が1人でも自分の資産を受け取れるようにと努力してくれているのです。

企業型DCの場合は「会社の制度」であるがゆえに、自分が確定拠出年金に加入しているということをあまり自覚していなかったり、せっかく会社で有利な制度があるのに無関心だったりという方も少なくありません。もちろん転職時は何かと忙しく、企業型DCの手続きにまで手が回らないということもあるでしょう。けれども自分のお金です。やはりしっかり自覚を持って適切な対応をしましょう。

また、もしDC難民になっている方がいれば、今からでも遅くはありませんから、ぜひ手続きをしてください。自動移換については、特定運営管理機関という窓口があり詳細が記載されたウェブサイトもありますし、コールセンターもあります。

【自動移換者専用コールセンター】
03-5958-3736 ※平日 9:00~17:30

確定拠出年金は制度上、まだまだ改善が望まれるところも多々ありますが、「転職」をデメリットにしないためには、自分自身で「現金化」に備えることと、「自動移換」されない手続きを行う、この2点が重要ポイントとなります。

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