はじめに

病気やケガと公的保険

まず、病気やケガをした場合についてですが、公的医療保険はかなり充実しています。

通常、病院にかかった際の窓口負担は3割ですみます。さらに、同じ月に医療費が高額になった場合は、「高額療養費制度」が利用できます。高額療養費算定基準額は5段階に分かれていますが、標準報酬月額28万円以上53万円未満なら、ひと月の医療費26万7,000円までは3割負担で、それを超える額は1%負担です。健康保険組合の中には、独自の給付(付加給付)がある場合もあります。

自己負担限度額のうち、基準額を超えた分が「付加給付」として支給されるので、さらに自己負担は軽減されます。もし治療が長引いたとしても、直近12ヵ月間にすでに3ヵ月以上、高額療養費の支給を受けている場合には(多数回該当)、4ヵ月目以降の負担の上限額は4万4,400円に下がります。

高額医療費の支給対象外の差額ベッド代が高いと心配している人も多いのですが、差額ベッド代は、あくまで自分で希望した場合にのみかかります。救急や伝染病など、実質的に患者の選択によらない場合はかかりません。厚労省の通知『「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について』で確認してみましょう。

このような制度があるため、もしもの時の医療費は、実はそれほど心配しなくてもいいのです。生活費の3ヵ月分くらいの貯蓄があればカバーできるケースが多いでしょう。

国民健康保険も保障内容は同じですが、基本的には「傷病手当金」は出ません。「傷病手当金」は、病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。うつ病や精神疾患も対象になります。仕事ができなくなった日から起算して3日を経過した4日目から、休業した期間について、給与の支払いがない場合、また支払いがあっても傷病手当金の額より少ない場合はその差額が支払われます。

これまでは、同一のケガや病気の傷病手当金の支給期間は、「支給を始めた日から起算して最長1年6ヵ月」でしたが、法改正で、2022年1月1日から、「支給開始日から実際に受け取った日数を通算して1年6ヵ月に達するまで」出ることになりました。金額は、1日当たり、「支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額の平均した額」(※1)を30日で割ってさらに3分の2にした金額です。

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