はじめに
NISAとiDeCo
さらに、この運用をNISAやiDeCoで行うことで、運用収益にかかる税金をゼロにすることが可能です。金融商品への投資による運用収益は、本来2割以上の税金がかかります。NISAとiDeCoは投資促進を図るため、運用収益への税金をゼロにしてくれるという制度です。
先ほどのシミュレーションの場合は1,083万円もの運用益が出ているので、これをもしNISAやiDeCoではない一般の投資で行ってしまうと2割以上、つまり200万円以上もの税金が引かれることになります。なんて……嘆かわしい!
なおかつ、今回のご相談者は共働きなので、ご夫婦そろって所得税と住民税を納められています。資金の余力もおありでしたら、iDeCoをすぐにでも始めてください。
NISAとiDeCoの違いはいくつかありますが、その中でも大きいのが 「給料などにかかる所得税や住民税の計算の時に『控除』として引いてくれるかどうか」 という点です。NISAは給与などの所得計算に介入しませんが、iDeCoの場合は所得税や住民税の計算で「控除」となり、税額を低くすることができるのです。
今回のご相談者の場合は、会社で「企業型確定拠出年金」に入られているので、iDeCoの上限額は月額2万円、MAX年間24万円です。この掛け金は、60歳まで引き出すことができないというのが特徴ですので、その点だけご注意いただければ、ご夫婦揃って節税ができます。
お2人の所得税・住民税の税率ですと、両方合わせて15%ほどの節税効果がありますので、24万円のお2人分48万円に15%をかけて年間72,000円以上も税金が安くなるということになります。
iDeCoは掛け金をする際に手数料がかかりますが、たとえ手数料が3%引かれたとしても節税の効果が15%あるので差し引き12%は得する、ということです。
※ 年末調整の内容と比較すると、医療費控除適用により夫の所得税6万5千円、住民税13万円低くなっています。
ただし、iDeCoの口座開設には1ヵ月ほど要すると言われていますので、12月に思い立っても年内にスタートするのは難しいと思います。ですが、早ければ早いほど節税効果が高くなるので、来年ぜひ始めてくださいね。
ちなみに、所得税や住民税は所得により納める金額が変わるので、もしほとんど払っておらず節税の必要がない方は、iDeCoをしても節税の恩恵が受けられません。まずはNISAで投資をスタートされるのがおすすめです。
節税のアンテナを張っておくことはもちろんですが、貯蓄が複利で増えていくことを考えると、iDeCoやNISAで投資をするメリットについてもご理解いただけたのではないでしょうか?
ふるさと納税についても、誤った知識で限度額を多く見積もり、寄付しすぎて控除を受けられなかった、という方も意外といらっしゃるのですよ。なんて……嘆かわしい!
正しい知識で正しく節税し、クリーンな納税をしていただければと思います。