はじめに
第2の選択肢は「暮らしを維持して会社を辞める」
家も会社も今のまま続けるとすると、交通費を自分で負担し続けることになります。それがどうしても苦しい、という場合には、第2第3の選択肢から選ぶことになるでしょう。
第二の選択肢は、いまの住環境を維持するために会社を辞めることです。暮らし自体は変わらないため支出は現在のまま変わりませんが、現在の住まいの近くで転職先を探すことになると収入が大幅に減少する可能性があります。
ご相談者さん夫婦は現在、共働きでいらっしゃいます。ご夫婦に37万5,000円ずつ稼ぎがあり、合計では月額75万円になります。それに対して毎月の支出は40万円です。40万円の内訳は、住居費15万円、食費10万円、教育費5万円が目立ちますが、それ以外はとてもコンパクトに抑えられています。
仮に月収が15万円減ったとしても、手取りで60万円あれば20万円貯蓄できる計算になります。いまの生活を守っていけば家計は十分に成り立つでしょう。現在の家計には金融資産が350万円(預貯金300万円+投資50万円)しかありませんから、今後も貯蓄を増やせるように引き締めて生活をしていきましょう。
第3の選択肢は「会社に残って家を手放す」
第3の選択肢は、収入を維持するために会社に残り、家を誰かに貸し出す方法です。賃料収入よりもローンの支払いが多くなるかもしれませんが、それでも夫婦の収入を維持できるメリットは大きいでしょう。毎週飛行機代を自己負担して通勤をすることを思えば、家計にとっての負担は少なくてすむでしょう。
いつか自分たちで住むことにこだわらなければ、家を売却してローンの残債を減らしてしまう方法もあります。
ただし、「移住時に賃貸から持ち家になったことや子どもの学校のこともあって、引っ越しは考えていません。」という言葉からは、この場所で家族で暮らしていくという強い意志が感じられます。そうなると、あまり気乗りのしない選択肢かもしれませんね。
価値観の優先順位付けと、価格を調べることから始めよう
「会社に交通費を負担してもらいながら、いまの家に住み続け、夫婦で今の仕事を続ける」がベストシナリオでありますが、それが難しい場合は、家をとるか、仕事をとるか、家族にとっての優先順位を決める必要があります。
選択しがたい場合には、それぞれの選択をした場合にかかる金額を調べることが役に立ちます。第1の選択肢では、交通費を毎週自己負担した場合の合計額が家計にとっての損失になります。一番安い方法を探して合計額を出しましょう。
第2の選択肢では、転職した場合の収入減少が家計にとっての損失になります。転職エージェントなどに登録して近隣で新たな仕事を探す場合について相談してみてもいいでしょう。
第3の選択肢は、家を貸し出した場合の賃料収入と住宅ローンの返済の差額が目安になります。もしくは家を売却した場合とローン残高の差額で計算してもいいでしょう。不動産会社に査定を依頼するといいですが、近隣の不動産広告で類似物件を探すことも参考になるでしょう。
それぞれの条件を数字で具体化して、家族の価値観とあわせて、これから取れる選択肢を検討してみましょう。
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