はじめに

「お金がないから投資できない」は言い訳にならない

塚本:投資信託と一口にいってもさまざまな種類があって、全部でおよそ6,000本くらいあります。数だけでいうと、株式の個別銘柄より多いんです。

有野:えぇ~っ、そんなにあるんですか!? だったら余計に選べへんやん! 誰かプロの方にお願いしたいなぁ。

酒井:それが投資信託ですよ。でも先生、私も何を買えばいいのかわからなくなりそうです……。

塚本:そこはご安心を。その中でも、最初は大きな株価指数に連動する「インデックスファンド」で、全世界の企業に幅広く投資する「全世界株式型」を選べばOKです。

酒井:「インデックス」ってなんですか?

有野:昔あったゲーム会社やな。アトラスって言う方が分かりやすいかもしれんけど、インデックスは「女神転生」シリーズとか「ペルソナ」シリーズのアトラスっちゅうゲーム会社を買収したりしてたんやけど、10年前くらいに破産してしまったんや。でも、アトラスはセガ傘下になって復活して、いまでも「女神転生」シリーズとか「ペルソナ」シリーズは新作が出てんねん。でも、僕的にアトラスで好きなソフトはPCエンジンで出てた「メソポタミア」やね。主人公がバネのアクションゲームやねん。ビヨンビヨン上にも下にも壁にも張り付いて、移動しながら敵をやっつける……そのメソポタミアを含むファンドやね。

酒井:……絶対に違うと思います(笑) 先生、お願いします。

塚本:インデックスとは、複数の銘柄の株価の合計から算出される「株価指数」のことです。対象となる指数が上下に動けば、そのインデックスファンドも同じように上がったり下がったりします。日本では、「日経平均株価」や「TOPIX」が代表的な株価指数ですね。

有野:日経平均株価なら聞いたことあります、日本の企業の株価の平均ってことですよね? ネタ見せ番組だと、どの芸人のネタが一番視聴率とれたかじゃなくて、番組の平均視聴率で評価されるって感じか。その株価指数と同じように動くってことは、上場企業の株を全部買えばいいけど、自分で買うのとものすごいお金が必要になるから無理やし。あ、それがファンドだったら同じことが少額でできるってことですね。

塚本:日経平均は日経新聞が選んだ225銘柄の株価の平均、TOPIXは東証に上場している全企業の株価の合計を元に割り出された株価指数です。ただ、いまは日本の経済成長が停滞しているので、成長の期待度が高い「全世界型株式」、または「米国株式」が人気ですね。

酒井:全世界!? なんだかお金持ちになったみたい。

塚本:それも、投資信託のメリットの1つなんですよ。個別で全での株を買うとなると、とてつもない資金が必要になりますが、投資信託なら100円から買うことができるものもあります。

有野:100円ですか? 大きな会社の一株なんて買われへんけど、みんなが100円ずつ持ち寄ったら買えて、儲けたらまたみんなで分けるって考え方ですかね。そう考えたら、意外と安く買えるんですね。個人個人は100円のローリスクやけど、集まったらハイリスクでハイリターンやけど、分けてるからローリターン、それも堅実なローリターン。知らんかったなー。

塚本:ですから、「お金がないから買えない」というのは投資をしない言い訳になりません。投資信託の中には内容が似通っているものもありますが、その場合は、投資信託の規模と手数料を比べて、規模が100億円以上で、手数料(信託報酬)が0.3%以下のものがベター。

有野:なるほどね、流行ってる人気者やから手を出すんじゃなくって、信頼と実績のあるたけしさんとかさんまさんみたいな、長く活躍する人にみんなでついていけば間違いなし、ってことか。

酒井:100円でいいなら、気軽に始めることができそうですね。全世界に投資できるっていうのも面白そうで、投資信託にどんどん興味がわいてきました!

有野:そうやな、まずは投資のプロの顔写真を検索しよう。

酒井:顔の話ばっかりじゃないですか(笑)

次回(2月28日配信予定)は「長期・積立・分散」について聞いていきます。

有野晋哉
1972年2月25日生まれ。大阪府出身。テレビやラジオ、CM、雑誌の連載などマルチに活躍。コンビで公式YouTube「よゐこチャンネル」も開設しており、幅広い世代から支持を得ている。自身が50歳を迎えた2022年に、お金にまつわる知識の大切さに目覚め、日々勉強中。

酒井瞳
1989年5月3日生まれ。宮崎県出身。2008年4月に女性アイドルグループ「アイドリング!!!」に14号として加入し、2015年10月に卒業。その後は地元・宮崎県に関わる活動や、テレビやドラマ、YouTubeなど活動の幅を広げている。2022年2月よりジムでパーソナルトレーナーを開始。また、同年に故郷の宮崎県延岡観光大使に就任。 アイドル専用ジム「iウェルネス」ではトレーナーとしても活動している。

塚本俊太郎
金融教育家、日本CFA協会執行理事。1994年、慶應義塾大学総合政策学部卒、97年に米国シラキュース大学大学院国際関係論修士。同年、UBS信託銀行に入行し、債券運用部ファンドマネジャーを務める。02年以降、メリルリンチ・インベストメント・マネジャーズ(現ブラックロック・ジャパン)、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントなど外資系運用会社にてストラテジストや投資戦略部長などを歴任。20年、金融庁に入庁し、金融教育担当として高校・大学・社会人向けに授業を行う。高校家庭科での金融経済教育指導教材や、小学生向け「うんこお金ドリル」の作成を担当。現在はフリーランスの金融教育家として金融リテラシーや資産形成について発信・寄稿・講演を行う。また、金融教育プログラム構築に関するコンサルティングも実施している。Eテレ「趣味どきっ!」に3月1日(水)21:30から「金育」をテーマに4週に渡り出演。著書『今日から楽しむ“金育” 』(NHK出版)が2月22日(水)発売。

ライター:新井奈央 / 写真:文化工房

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