はじめに

「公的年金シミュレーター」で将来の年金額を把握しよう

岩城:では、ねんきん定期便にQRコードがあるのはご存じでしたか?

三輪:え、そうなんですか? なんのQRコードなんでしょうか。

岩城:厚生労働省が作成した「公的年金シミュレーター」にリンクしています。「公的年金シミュレーター」は個人情報等を入力しなくてもスマホなどで簡単に将来の「年金見込み受給額」が計算できるのですが、「ねんきん定期便」のQRコードを利用すれば、より簡単に入力できます。マネープランを作成する際にも便利なツールなので、ねんきん定期便が届いたら覗いてみてください。

画像:厚生労働省「公的年金シミュレーター」より引用

有野:めっちゃ便利やん、今度覗いてみよう。そういえば、年金ってもらう年齢を遅らせることができるんでしょ? 人生100年時代で何があるかわからんし、長生きするって考えたら遅めの65歳からもらったほうがいい気がしますが。

三輪:確か、繰下げ受給でもらった方がお得なんですよね?

岩城:公的年金の支給開始は原則65歳ですが、受給開始時期は、60歳〜75歳までの間で、自分で選ぶことができます。ひと月年金を受け取るのを我慢すると、年金額は0.7%増えます。5年間我慢すると42%増えるので、例えば100万円の年金額は142万円になり、それを一生受け取れます。逆に早く受け取ると1月早めるごとに0.4%減ります。

岩城:終身受け取ることができる公的年金は、国民が保険料を出し合って、長生きリスクに備える「保険」ですので「損得」で考えるものではありませんが、繰下げ受給の効果をみるためにあえて計算すると、「繰り下げ期間中、受給できなかった分を取り戻すにはどれくらいかかるか」という「損益分岐点」は約12年になります。繰り下げた場合、受給開始から約12年後に65歳から受け取った場合の本来の年金総額を追い越します。70歳まで繰り下げれば82歳、さらに上限75歳まで繰り下げれば87歳です。それより長生きすれば、本来より年金を多く受給できます。

有野:じゃあ、遅めの受け取り開始にして長生きする! 800歳まで生きて、めっちゃ得したるねん!

三輪:いくら本人が亡くなるまでもらえるといっても、800歳まで生きるのは無理だと思います(笑)

有野:そうですね、そんなに生きられへんか。82歳か~、それまで生きてるかなぁ。子どもは50歳、ほぼ今の僕か。歳いった子どもも見たいから頑張ろう。

三輪:確か、男性の平均寿命が80歳くらいだったんじゃなかったんでしたっけ? 女性のほうがもっと長かったと思うので、平均寿命まで生きればお得ってことですよ!

有野:もちろん長生きできればいいけど、こればっかりはわからへんもん。そういう意味では、65歳からもらった方がいいかもしれんな。先生、そもそも年金って絶対もらえるんですか? ここで勉強した事で、年金には頼らないで自分で貯めましょうってNISAとiDeCoが始まったんでしょ。雑誌とか読んでると、たまに「年金破綻」とか「もらえなくなる」なんて記事を見かけるんですが。

岩城:そういうことを言う方もいますが、年金制度は、少子高齢化・人口減少に対応する改革がすでに実施されています。さらに、将来予測できないような大きな変化があるかもしれないので、政府は少なくとも5年ごとに人口や経済が見通し通りになっているかを検証し、少しずつ修正することにしていて、次期改革への議論も進んでいます。根拠もなく「年金はもらえない」「あてにならない」と考えるのは誤りです。

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