はじめに

どんどん変化する「税制」

有野:そもそも税金って、どうして納めるようになったんですか? 僕が子どもの頃って、消費税なんてなかったですよ。駄菓子屋さんの計算も簡単やった。

山田:国民への税金は、昔は固定資産税が主でした。つまり、「年貢」です。ところが、戦争をするために資金が必要になり、所得税をはじめとした、さまざまな税金が設けられました。税金は、原則的に「公平・中立・簡素」という観点で成り立っていて、「ここだけに税金をかけたら不公平だな、じゃあこっちにも税金をかけよう」となり、どんどん種類が増えていったわけです。

三輪:まったく「簡素」ではないと思います(笑)

有野:おお、さすが弁護士さん! 入り方が「逆転裁判」みたいやん。

山田:ご指摘の通りですね。公平と中立ばかり重んじられて、簡素という理念は欠けているのが現実だと思います。

有野:でも先生、簡素を目指していたわけでしょ? なんで、こんなことになってしまったんですかね?

山田:あちこちからの声を全部拾っているからでしょうね。こっちの話を聞いたから、今度はあっちの話を聞こうとなり、それがどんどん新たに反映されていくので、現在のような複雑なものになっていったわけです。

三輪:税理士さんのような専門家でも、すべてを把握するのは大変じゃありませんか? 弁護士の世界も似たようなものなので、その大変さはよくわかります。

有野:自ら出た、そうなんですよ。三輪ちゃんは弁護士です! 同じ生徒の立場だから、すぐ忘れてまうわ。

山田:今年、2023年10月から始まる「インボイス制度」もそうですが、新しい税制が始まったり、ルール変更が日常のように行われたりするので、常に情報をアップデートしていないと、すぐに取り残されてしまいますね。なかには、きちんとアップデートできていない税理士の方もいるかもしれません。

有野:先生、プロでもわからんのやったら、僕ら素人にはどうしようもないですやん!

山田:おっしゃる通り、すべての税制を把握するのはさすがにハードルが高いでしょう。しかし、自分に関わりが深い税制だけに絞れば問題ありません。なので、今回は数多くの税金の中から、みなさんの生活に密接な関わりがある、「固定資産税」「住民税」「自動車税」について、主にお話していきたいと思います。

有野:さすが先生、痒いところに手が届く(笑)

三輪:私は弁護士として、遺産分割案件を多く担当するので、特に相続税が気になりますね。

山田:それは次回、たっぷり解説していくので、楽しみにしていてください。

三輪:おぉ~、グッドタイミング!

有野:三輪ちゃん、それ俺のセリフやから!  次にそのセリフ使ったら消費税払ってや(笑)

次回(4月11日配信予定)は「固定資産税」について聞いていきます。

有野晋哉
1972年2月25日生まれ。大阪府出身。テレビやラジオ、CM、雑誌の連載などマルチに活躍。コンビで公式YouTube「よゐこチャンネル」も開設しており、幅広い世代から支持を得ている。自身が50歳を迎えた2022年に、お金にまつわる知識の大切さに目覚め、日々勉強中。

三輪記子
東京大学卒業後、立命館大学法科大学院を経て司法試験に合格。2017年より第一東京弁護士会に所属。弁護士として法律相談、法的問題のセカンドオピニオンや交渉、調停、審判、訴訟の代理人などを務める。主に中小企業や個人事業主の顧問弁護士として活躍するかたわら、松竹芸能に所属し、テレビやラジオなどメディアにも出演。ゲストを交えて時事問題を法的観点から語るYouTubeチャンネル「みわたまチャンネル」も手掛ける。

山田真哉
公認会計士・税理士・芸能文化税理士法人会長。大阪大学文学部卒業後、東進ハイスクール、中央青山監査法人/プライスウォーターハウス・クーパースを経て独立。小説『女子大生会計士の事件簿』(角川文庫他)はシリーズ100万部、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(光文社)は165万部を超えるベストセラーを記録した。個人のYouTubeチャンネル「オタク会計士ch【山田真哉】少しだけお金で得する」は登録者数約60万人。公職として2016年から内閣官房行政改革推進会議WG委員、株式会社ブシロード等の監査役を務める。

ライター:新井奈央 / 写真:文化工房

この記事の感想を教えてください。