はじめに

どんどん厳格化する空き家の管理

三輪:でも先生、空き家をそのままにしておくと、地震とかで倒壊したりするかもしれないから、危ないですよね?

山田:そうなんです。そのまま人が住まわずに放置しておくと倒壊の危険があり、実際に屋根や外壁が倒壊し、通行人がケガをするようなケースも出ています。これに対応するため、政府は2015年に「空き家対策特別措置法」、いわゆる「空き家特措法」を施行しました。

有野:へぇ、そんなんあるんや。しかも2015年って結構前やけど、制度が出来てよくなったんですかね?

山田:「空き家特措法」は、窓が割れていたり、亀裂が入っていたりして倒壊の危険性がある建物に対して、自治体が「特定空き家」に認定することで、自治体が強制的に解体、あるいは修理を所有者に求めることができるという法律です。いわゆる「ゴミ屋敷」など、衛生上で有害と考えられた場合も同様です。「特定空き家」に認定されると、先ほどお話した住宅用地特例の要件から外れてしまうので、固定資産税が約6倍に上がってしまいます。

有野:住んでないから税金は上がってしまうか。でも「ゴミ屋敷問題」って、よくテレビで取り上げられてたけど、誰も住んではらへんゴミ屋敷の場合やと、いまは強制的に撤去できるようになったんや。

山田:老朽化した空き家を放置したままだと、ただただ街が枯れていくだけです。そういう意味では、所有者は諦めて更地にして、新しいマンションなどを建てられるようにすべきでしょうね。空き家については、「空き家特措法」の施行後も、特定空き家に指定された後も修繕や解体の処理がなされたのは半分程度にとどまるなど、まだまだ管理や修繕が必要な空き家が多いのが現状です。

三輪:わたし自身も解体費が払えないとか、誰が解体費を負担するか決まらないということで解体がなかなか実現できないというケースを経験したことがありますね。空き家の解体も所有者の義務ではないわけで、とても難しい問題ですね。しかも名目上の所有者も自らすすんで所有者になったわけではなかったりしますから。

山田:法改正によって「管理不全空き家」という項目が加わるなど、空き家に対してはどんどん厳しい管理が求められるようになっていますし、これからもそうなると思います。ご実家など、いまは空き家でなくても、将来的に空き家になる可能性がある場合は、いまのうちに対策を考えておくべきでしょう。

有野:俺もやらないで放置しているゲームソフトが多いもんなぁ。どんどん溜まって、ハードが段ボール1箱、ソフトが2箱あるもん。昔のソフトって、ダウンロードで出来るようになったから、いらないっちゃいらんねんけど。でも、そのハードでコントローラーでやりたいしなー。でも、元気なうちに「管理不全ゲーム」にならないよう、全部売って次のゲームを買うとか、有効利用すべきタイミングなのかもしれんな。

三輪:やっぱりゲーム基準なんですね(笑)

次回(4月18日配信予定)は「自動車税」について聞いていきます。

有野晋哉
1972年2月25日生まれ。大阪府出身。テレビやラジオ、CM、雑誌の連載などマルチに活躍。コンビで公式YouTube「よゐこチャンネル」も開設しており、幅広い世代から支持を得ている。自身が50歳を迎えた2022年に、お金にまつわる知識の大切さに目覚め、日々勉強中。

三輪記子
東京大学卒業後、立命館大学法科大学院を経て司法試験に合格。2017年より第一東京弁護士会に所属。弁護士として法律相談、法的問題のセカンドオピニオンや交渉、調停、審判、訴訟の代理人などを務める。主に中小企業や個人事業主の顧問弁護士として活躍するかたわら、松竹芸能に所属し、テレビやラジオなどメディアにも出演。ゲストを交えて時事問題を法的観点から語るYouTubeチャンネル「みわたまチャンネル」も手掛ける。

山田真哉
公認会計士・税理士・芸能文化税理士法人会長。大阪大学文学部卒業後、東進ハイスクール、中央青山監査法人/プライスウォーターハウス・クーパースを経て独立。小説『女子大生会計士の事件簿』(角川文庫他)はシリーズ100万部、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(光文社)は165万部を超えるベストセラーを記録した。個人のYouTubeチャンネル「オタク会計士ch【山田真哉】少しだけお金で得する」は登録者数約60万人。公職として2016年から内閣官房行政改革推進会議WG委員、株式会社ブシロード等の監査役を務める。

ライター:新井奈央 / 写真:文化工房

この記事の感想を教えてください。