はじめに
税金のミスは自己責任!
有野: でも、その「住民税決定通知書」にiDeCoの情報なんて書いてあったけなぁ……見た記憶ないわ。
三輪:さっき、「全部、経理の妻がやってくれてます」って言ってませんでした?
有野: あ、だから見た記憶ないんや(笑)
山田:「住民税決定通知書」の明細を見ると、前ページの所得控除欄の中の「小規模企業共済」という欄がiDeCo、ふるさと納税がある場合は摘要欄に「寄付金税額控除」という形で載ってきたりします(自治体によって書き方は異なります)。特にiDeCoは名称が違うので、ピンとこない人のほうが多いかもしれませんね。
有野:役所からの書類だから、正しいものと思ってしまいそうやなぁ。小規模共済等控除て欄を気にしよう。
山田:ほかにも、子どもが生まれたのに会社、あるいは税理士に伝えていないとか、さまざまなところでミスは起きます。ふるさと納税をした場合、寄付金控除を受けるには確定申告が本来必要ですが、確定申告をしなくても寄付金控除が受けられる「ワンストップ特例」という制度があるのは、ご存じですか?
三輪:私は確定申告しているので利用していませんが、名前は聞いたことあります。
有野:俺も名前だけ。ふるさと納税やるたびにネットで聞かれる。税理士さんに無視していいです、って言われてるから、ワンストップしないで、ゴーしてる。でも、どんな制度なんですか?
山田:この「ワンストップ特例」、会社員はふるさと納税先の役所とのやり取りだけで、寄付金控除が受けられる制度なのですが、住んでいる地域の役所とふるさと納税先の役所との間で情報のやり取りがされるので、ここでも凡ミスが多発しているんですよ。
有野:こっちでやり取りするんじゃなくって、役所同士でやって貰えるのが「ワンストップ特例」なんや。でも凡ミスは怖いなぁ。そういうミスって、誰の責任になるんですか?
山田:税金は「自己申告」の制度なので、役所側がミスをした場合でも、そのミスに気付かなかった自分の責任になります。実は、「住民税決定通知書」などの税金関連の書類には、「内容が違っていたら異議申し立てしてください」といったことが書いてあるんですよ。ほら、ここに書いてあるでしょ?
画像:総務省「納税義務者用の特別徴収税額決定通知書の記載内容の秘匿」より引用
三輪:字ちっちゃ! きちんと目を通そうと意識しても見落としてしまいそうですね。
有野:そういえばこの前、都内の時間極めの駐車場にクルマを停めてんけど、長く停めるから、最大料金が決まってる所に。停車して看板見て、ってしながらウロウロして、ココが一番安いって入ってん。仕事終わってクルマを出そうと会計したらバカ高くて、「えぇ~っ!最大料金と違う! なんでこんなにすんの!?」と思って、よくよく看板を見たら、小さい字で「最大料金はNo5、6、7のみ」って書いてあるんよ。その3台だけ? ずるぅ~ってなったんです。これはそれと同じ手口ですよ。
三輪:手口って、犯罪みたいに言わないでください(笑) でも、運営側からしたら「ちゃんと書いてありますから」って言えますもんね。
税金関連の書類は、きちんと目を通すことが大切
山田:やはり、届いた書類は自分の目できちんと確認することが大切です。ちなみに、住民税決定通知書の内容の間違いについては、6月末にある1回目の納付期限までには申し立てをしておいたほうが良いです。だいたい5月から6月にかけて送られてくるので、今度はちゃんと封を開けてくださいね(笑)
有野:はーい。老眼鏡かけて、妻とダブルチェックします!
三輪:数字がおかしいなと思ったら、やっぱり税理士さんに聞くのがいいんでしょうか?
山田:そうですね、金額を確認してみて違和感があるようでしたら、顧問税理士がいるならその税理士に、いなければすぐに役所に問い合わせてみるといいと思います。
有野:やっぱり自分できちんと確認すべきなんやね。芸人も、台本を渡されてそれ通りにやってるだけじゃ、伸び代があらへんやろうし。ココでこれ言うていいですか、とかやらないとね。
三輪:芸人さんの事情についてはわかりませんが、税金についてはいろいろと勉強になりました!
山田:今回は固定資産税、自動車税、住民税と、みなさんの生活に密着した税金に絞ってお話ししてきましたが、ほかにもみなさんと関わりが深い税金がたくさんあります。ここで話しきれなかった内容も少なくありませんので、気になるかたは私のYouTubeをご覧いただければと。
有野: あ~っ、宣伝しだした! 僕も10月29日(日)に、ゲームセンターCXの20周年イベントをさいたまスーパーアリーナでやりますので、来月チケット発売です! よろしくお願いしま〜す。
三輪:もう有野さん、先生と張り合ってどうするんですか(笑)
有野・三輪:山田先生、どうもありがとうございました!
5月からは、ファイナンシャルプランナーの塚越菜々子( @fp_nanako )先生をお迎えし、「保険」について学んでいきます。次回は5月9日配信予定。
2時間目:よゐこ有野、役所の対応にショック!土地を寄付しようと電話するも「そんなんあるの!?」
3時間目:クルマにかかる税金、全部でいくつ?よゐこ有野「めちゃくちゃ払ってるやん!」
4時間目:もうすぐ届く【住民税決定通知書】には金額ミスがあることも…よゐこ有野「それ誰の責任?」
有野晋哉
1972年2月25日生まれ。大阪府出身。テレビやラジオ、CM、雑誌の連載などマルチに活躍。コンビで公式YouTube「よゐこチャンネル」も開設しており、幅広い世代から支持を得ている。自身が50歳を迎えた2022年に、お金にまつわる知識の大切さに目覚め、日々勉強中。
三輪記子
東京大学卒業後、立命館大学法科大学院を経て司法試験に合格。2017年より第一東京弁護士会に所属。弁護士として法律相談、法的問題のセカンドオピニオンや交渉、調停、審判、訴訟の代理人などを務める。主に中小企業や個人事業主の顧問弁護士として活躍するかたわら、松竹芸能に所属し、テレビやラジオなどメディアにも出演。ゲストを交えて時事問題を法的観点から語るYouTubeチャンネル「みわたまチャンネル」も手掛ける。
山田真哉
公認会計士・税理士・芸能文化税理士法人会長。大阪大学文学部卒業後、東進ハイスクール、中央青山監査法人/プライスウォーターハウス・クーパースを経て独立。小説『女子大生会計士の事件簿』(角川文庫他)はシリーズ100万部、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(光文社)は165万部を超えるベストセラーを記録した。個人のYouTubeチャンネル「オタク会計士ch【山田真哉】少しだけお金で得する」は登録者数約60万人。公職として2016年から内閣官房行政改革推進会議WG委員、株式会社ブシロード等の監査役を務める。
ライター:新井奈央 / 写真:文化工房