はじめに
2018年1月から「つみたてNISA」がスタートします。つみたてNISAとは、積立投資専用の「NISA(少額投資非課税制度)」です。NISAという名が付いていることから、従来のNISA同様、投資によって得られた売却益(譲渡益)や分配金の運用益は非課税になるという制度です。
今回は、つみたてNISAの概要と、メリット・デメリット・注意点をまとめました。これから始めたいと思っている方は参考にしてみてください。
つみたてNISAの概要
つみたてNISAは、口座開設受付は2017年10月1から既に始まっています。ただし、運用開始は2018年1月からとなります。
従来からあるNISA(以下、NISA)との比較を踏まえ、つみたてNISAの概要を表にまとめました。
NISA | つみたてNISA | |
---|---|---|
利用できる人 | 日本に住む20歳以上なら誰でも | 左同 |
新規に投資できる期間 | 10年間 (2014年~2023年) |
20年間 (2018年~2037年) |
非課税となる期間 | 投資した年から最長5年間 (ロールオーバーを利用して最大10年間) |
投資した年から最長20年間 |
年間投資上限額 | 120万円 (非課税枠の繰越はできない) |
40万円 (非課税枠の繰越はできない) |
累計非課税投資上限額 | 600万円 | 800万円 |
投資対象商品 | 上場株式(ETF、REIT含む)、 公募株式投資信託 |
金融庁が定めた基準を満たす投資信託・ETF |
投資方法 | 一括買付、積み立て | 定期かつ継続的方法による積み立てのみ |
資産の引き出し | いつでも引き出せる | 左同 |
損益通算、繰越控除 | できない | 左同 |
所得控除の適用 | なし | 左同 |
スイッチング、 分配金再投資の扱い |
新規の投資とみなされ、非課税枠を消費する | 左同 |
金融機関の変更 | 年単位であれば可能 | 左同 |
「つみたてNISA」の特徴としては、非課税期間が20年と長く、また投資方法も積立投資に限定している点、投資商品は金融庁が定めた基準を満たす商品に限定されている点が挙げられます。
つみたてNISAのメリット
(1) 年間40万円までの投資額が運用益非課税に
日本では、投資から得られた利益に対して、20.315%の税金(所得税+住民税+復興特別税)がかかります。例えば、投資信託を運用して10万円の利益が出た場合、そこから2万315円の税金が差し引かれ、実際手にする利益は8万円程度になるということです。
「つみたてNISA」を活用すれば、非課税で投資することができるので、本来差し引かれるはずの税金分を含めて投資へ回すことができます。
(2) 非課税となる期間は20年と長い
「つみたてNISA」は非課税期間が20年なので、長期投資向きと言えます。長期投資のメリットは複利を味方につけられることです。複利効果を活用すれば、お金の貯まるスピードが増します。
(3) 金融庁に選ばれた商品から投資できる
金融庁が選ぶ商品は「長期」「積立」「分散投資」に適した一定の投資信託です。具体的には、信託期間(投資信託の運用が行われる期間)が20年以上で、分配金の支払い頻度が毎月ではなく、手数料が低水準のもの、などといったルールがあります。
(4) 商品数が少ないため、選びやすい
「つみたてNISA」では、商品数が限定されているので投資初心者にとっては選びやすい点がメリットと言えます。現在販売されている投資信託は約6000あり、投資初心者にとっては、その中から自分にあった商品を選ぶのは至難の技と言えます。人は、選択肢が増えれば増えるほど悩んで行動できないという心の罠もあります。これを心理学用語で「決定麻痺」と呼びます。
(5) いつでも払い出し可能
「つみたてNISA」では、積み立てた資産を自由に引き出せます。よって、「住宅資金」「教育資金」「老後資金」「余暇資金」など自分にあった用途で活用しやすいでしょう。
(6) 20歳以上であれば、年齢に関係なく投資できる
「つみたてNISA」と競合する制度といえば、iDeCo(個人型確定拠出年金)が挙げられますが、iDeCoは、積み立てられるのが60歳までとなっています。仮に55歳の方が、iDeCoを活用した場合、積み立てられる期間は5年間しかありません。その点、つみたてNISAは55歳以上の方でも、非課税のメリットを得ながら、長期でコツコツと積立投資ができます。
次は、つみたてNISAのデメリットについてみてみましょう。