業界再編待ったなし、「地銀職員」が『鬼滅の刃』から学ぶべきこととは?
「生殺与奪の権を他人に握らせるな!!」
「(地方の銀行は)将来的には数が多すぎる。再編も一つの選択肢になる」。当時官房長官だった菅義偉首相は、今年9月上旬の自民党総裁選の出馬会見などで、地銀再編についてこう述べました。それに先立つ同年5月20日には、地銀同士の統合・合併等を独占禁止法の適用除外とする特例法が成立し、この11月には施行されることになります。今後10年間にわたる適用除外の期間中に、収益力の向上や金融サービスの維持を条件に地銀の再編が一気に進展していくとみられています(以下では、「地銀」に「第二地銀」も含めます)。既に地銀再編の号砲は鳴ったのです。地銀職員の皆さんは、「これからどうなるんだろう」と戦々恐々としていることでしょう。そんな不安な状況の下での心構えを、現在映画が大ブームとなっているマンガ『鬼滅の刃』が教えてくれるのです。
今後の景気はどうなる?政府・日銀の「景気調査ザッピング」のすすめ
複数比べることで見えてくるもの
新型コロナ感染症は、私たちの生活を大きく変えています。足元では、緊急事態宣言、外出自粛、在宅勤務などの日常行動を制限するような動きは若干縮小し、GoToトラベルをはじめとする景気刺激策が取られるなど、一時よりは普通のくらしが戻ってきているように思われますが、実際に私たちの生活はどうなっているのでしょうか。そして、先行きはどうなっていくのでしょうか。そうした景気の状況を詳しくみるためには、政府や日銀の景気調査をみることが近道になりますが、一つだけでなく複数の調査を比べてみる「景気調査ザッピング」によって、いろいろなことがより深く、より鮮明にみえてきます。
「半沢直樹」と「黒崎検査官」の対決、元金融庁幹部はどう見たか
印象的な"敵役”の実態
日曜夜に半沢直樹が帰ってきました。2013年に放送されて高視聴率を記録し、「やられたらやり返す、倍返しだ!」の名セリフを生んだ池井戸潤原作のTBSドラマ「半沢直樹」の2シーズン目が、7月19日から始まり、8月9日に第4話を迎えました。
“中にいた人”から就活生へ、「日銀は箔付けの場ではない」
ZOZO田端信太郎氏への返信
私がプロピッカーを務めているニュース共有サービス「NewsPicks」に、ライブドア、LINEなどで執行役員を務め、スタートトゥデイ(ZOZOTOWN)に転身された田端信太朗さんが就活生に向けて語った「22歳だったら、日銀経由で仮想通貨業界に行く」という記事が、今週掲載されました。題名に惹かれた面もあって読み始めてみると、純粋に面白い記事で、一気に読み終わりました。心に響く言葉がいくつもありましたが、全体としてすんなり受け入れられないものが残りました。それは、就活生の皆さんに「これをこのまま受け取って欲しくない」という気持ちでした。
金融庁が仮想通貨業者「大量処分」に込めたメッセージ
監督官庁の真意を読み解く
金融庁は3月8日、これまでの立ち入り調査を踏まえた仮想通貨交換業者に対する処分を発表。まだ正式に登録が済んでいない「みなし業者」5社のうち、2社に1ヵ月の業務停止命令、3社に業務改善命令のほか、登録済みの業者2社に対しても業務改善命令を出すなど、大方の予想よりも厳しいものになりました。今回の処分をつぶさに見てみると、金融庁の仮想通貨業界立て直しに対する「本気度」がうかがわれます。こうした処分を受けて、今後、仮想通貨業界や関連サービスはどう変わるのでしょうか。
ビジネスに応用できる「そだねージャパン」の成功戦略
“カー娘”を見習うべき3つの理由
2週間にわたって日本中の感動を呼んだ平昌オリンピックが閉幕しました。男子フィギュアスケートの羽生結弦選手・宇野昌磨選手による金銀独占、女子スピードスケートのメダルラッシュなど、多くの日本選手の活躍が皆さんに心に強く刻まれたことと思います。中でも、女子カーリングのLS(ロコ・ソラーレ)北見チームが銅メダルを取るまでの試合の一投一投に、手に汗を握って応援した方も多いのではないでしょうか。かく言う私もその1人です。北海道弁でコミュニケーションを取る、若く明るい女性チームに「そだねージャパン」というニックネームも付きました。実は、このLS北見チームの活躍には、ビジネスパーソンが学ぶべきたくさんの成功戦略が含まれているのです。
日銀・黒田総裁「続投」報道にマーケットはどう動く?
住宅ローン借り換えも検討すべきか
先週末、「日銀・黒田総裁が続投へ」というニュースを各メディアが一斉に報じました。安倍晋三首相が、4月8日に任期満了となる日本銀行の黒田東彦総裁を続投させる方針を固め、月内にも国会に提示する、という内容でした。黒田総裁の続投というニュースはメインシナリオでしたので、大きなサプライズはありませんでした。しかし、さまざまな噂が飛び交っていた中から1つのシナリオに絞られたとなれば、影響は各方面に広がっていきそうです。続投の背景には何があり、今後の経済・市場にどんな影響がありそうなのでしょうか。そして、私たちはどのように備えればいいのでしょうか。
コインチェック「流出問題」に私たちは何を学ぶべきか
問題の本質はどれだけ“ヤバいよ”?
弟:「兄さん、なんでビットコイン取引はコインチェックがいいんだよ?」兄:「兄さんが知らないはずないだろう」お笑いタレントの出川哲朗さんが一人二役で双子の兄弟を演じるコミカルなCMが、昨年12月から頻繁にテレビで放送され、皆さんの中にも見かけた方も多いと思います。仮想通貨取引所大手「コインチェック」のCMでしたが、1月26日、そのコインチェックから代表的な仮想通貨の1つであるNEM(ネム)が合計580億円、不正アクセスによって外部に流出したことが発表され、その後、このCMは放送されなくなっています。この事件は、仮想通貨業界全体にとってどれだけ“ヤバい”事態なのでしょうか。また、今回の流出事件を踏まえて、これから私たちはどのように仮想通貨と向き合っていけばいいのでしょうか。
総崩れの「仮想通貨」マーケットで何が起きているのか
ビットコイン、イーサリアムは半値水準
先週、仮想通貨マーケットは大きく揺さぶられました。ビットコインは1月16日に、一時1ビットコイン=100万円を割り込むレベルまで下落し、昨年12月に付けた最高値(同227万円程度)から半値以下になりました。他の仮想通貨でも、時価総額が2番目に大きいイーサリアムが終値ベースで、1月10日に付けた高値1イーサリアム=16万7,000円から、同月17日にはほぼ半値の8万9,000円まで下落。時価総額が3番目に大きいXRP(リップル)は、1月4日の375円から1月17日の102円まで、短期間で4分の1程度まで暴落しました。仮想通貨のマーケットで今、何が起きているのでしょうか。そして、価格の乱高下を繰り返す“新たな通貨”を、私たちはどう受け止めればいいのでしょうか。
銀行の「口座維持手数料」導入は私たちに損な話なのか
海外や他業界では当たり前
昨年末の新聞に「3メガ銀が『口座維持手数料』検討へ」という見出しが躍りました。こうした動きになった背景を探っていくと、社会の大きな変革の流れの中で現在の銀行が置かれている状況が変わってきていることや、今後の金融サービスがこれまでとまったく違ったものになる可能性があることなどが垣間見られます。また、私たちへの影響を考えると、必ずしも「手数料の増額」というネガティブな捉え方だけではなく、むしろ歓迎すべき動きとして捉えるべきということがわかります。私たちの生活になくてはならない銀行や金融サービスは、これからどう変わっていくのでしょうか。
2018年は「値上げの年」? 私たちはどう対策すべきか
生活密着分野で価格改定が続々
2018年が始まって1週間が経ちますが、年末年始のニュースの中で、いろいろな商品・サービスの値上げのニュースが目に留まった方も多かったのではないでしょうか。しかも、中心的に取り上げられたのは、私たちの生活と密接に関係のあるものばかり。今後さらに値上げの動きが拡大することになると、2018年は「値上げの年」になるかもしれません。こうした商品・サービスの値上げにはどのような背景があり、私たちの暮らしにはどのような影響を及ぼすことになるのでしょうか。
年明けがヤマ場、「日銀総裁人事」は暮らしをどう変える?
“次期総裁レース”は大混戦
第2次安倍晋三内閣が進めてきたアベノミクスの下で、日経平均株価は2012年秋の9,000円前後から2017年11月には一時、2万3,000円台まで上昇しました。景気回復局面も5年間となり、戦後2番目の長さとなっています。この間の金融政策を支えてきたのが、2013年3月に就任した日本銀行の黒田東彦総裁です。総裁の任期は5年のため、2018年の4月には次期総裁が就任することになります。安倍首相は年明けにも次期日銀総裁を誰にするか決断する、ともいわれています。株価だけでなく日本の経済全体、ひいては私たちの暮らしに大きな影響を与える金融政策は、後任の日銀総裁の下でどのようになるのでしょうか。
私たち利用者にとって「地銀再編」は善なのか悪なのか
公取委と金融庁がつばぜり合い
12月に入って、地方銀行の再編に関する2つのニュースが矢継ぎ早に報じられました。1つは、12月6日に行われた公正取引委員会(公取委)の記者会見で、山田昭典事務総長が、顧客が不利になる地銀の経営統合は認めないとの考え方を示したというニュース。もう1つは、12月15日に共に新潟県に本店を構える第四銀行と北越銀行の経営統合を公取委が認めたというニュースです。2つのニュースはどちらも公取委が主役となっており、しかも地銀の再編に対しては前者がネガティブ、後者がポジティブなニュースのように見受けられます。つまり、同じ公取委がまったく逆のメッセージを発しているように映るのです。地銀の経営統合・再編は、地域の経済や金融サービスにとって非常に重要な変化をもたらし、地域に住む皆さんの暮らしにも大きな影響を与えるものと考えられます。実は、この2つのニュースの背景には、長崎を舞台にしたもう1つの地銀再編の案件と、公取委vs金融庁の地銀再編をめぐる1年半にもわたるバトルがあるのです。
株式市場が2度おいしい「GDP上方修正」の理由
7~9月期改定値から見えてきたもの
内閣府は12月8日、今年7~9月期のGDPの2次速報(改定)値を公表しました。実質GDPが前期比0.6%増加、年率換算で2.5%の増加となり、その内容を材料に株式市場は大幅に続伸。当日の日経平均株価は前日に比べて300円以上上昇して、2万2,800円台を記録しました。11月15日に公表された1次速報値では、その内容がネガティブに評価され、日経平均株価も6営業日続落となったことは11月21日配信記事でご紹介しました。今回は、同じ統計の改定なのに、その逆の結果になりました。それでは、具体的に何が改定され、どのように評価されたのでしょうか。少し詳しくみていきましょう。
私たち一般市民は「仮想通貨」にどう向き合うべきか
ついにビットコインが100万円超え
11月26日、ビットコインの価格がついに1ビットコイン=100万円を突破したというニュースが駆けめぐりました。1月には10万円程度で取引されていたので、1年足らずの間に10倍に価格が上昇したことになります。また、ビットコインに次ぐ時価総額を有するイーサリアムは、同じ時期に50倍の価格上昇を記録しています。こうした急激な価格上昇を見た投資家が仮想通貨の取引に続々と流入し、さらなる価格上昇を招くという状況は、典型的な「バブル」の様相を呈しているという指摘もあります。こうした熱狂的な市場の中で、私たちは仮想通貨とどう向き合えばいいのでしょうか。
「いざなぎ超えの好景気」でも私たちの実感が薄い理由
7~9月GDP速報から見えてきたもの
11月15日に内閣府が公表した今年7~9月期のGDP(国内総生産)速報。GDP成長率は前期比で実質+0.3%(年率+1.4%)と、7四半期連続でプラス成長となりました。茂木敏充経済財政・再生相も同日の記者会見で「景気は緩やかな回復基調が続いているとの認識に変わりはない」と評価しています。一方で、GDPの速報値が市場予測を若干下回ったことを材料に、日経平均株価は6営業日続落となりました。続落期間としては1年半ぶりの長さとなり、今年最長を記録したことからニュースなどでも取り上げられました。はたして、足元の景気は好調を維持しているのか、あるいは、勢いが鈍化してきているのか。速報値の中身を読み解くことで、景気の実際の姿を浮かび上がらせたいと思います。
普通の会社員でも内閣府「街角調査」を読むべき理由
景気ウォッチャーのコメントが満載
皆さんは「景気ウォッチャー調査」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。内閣府が毎月実施している景気動向に関する調査で、ニュースなどでは「街角景気」という言葉で紹介されることも多いので、聞いたことがある方もいるでしょう。この調査の直近の結果が11月9日に内閣府から発表され、今月の現状判断が52.2ポイントと、3年7ヵ月ぶりの高水準となりました。この状況について、内閣府では「着実に持ち直している」というやや控えめな言葉で評価しています。でも、この景気ウォッチャー調査は、報告書を読めば読むほど面白い、日本全国の景気に敏感なおじさん、おばさんたちの生々しい声が聞こえてくるような調査なのです。今回の調査も、よく読んでいくと現在の日本全国の「街角の景気」が手に取るように伝わってきます。
相次ぐ撤退報道、私たちの「住宅ローン」はどうなる?
今、銀行が“安定収益源”を手放す理由
先週、メガバンクグループが住宅ローン事業の縮小・撤退方針にあるというセンセーショナルな報道が相次ぎました。みずほ銀行は東北、中国、九州といった地方における住宅ローンの新規取扱い停止を、三菱UFJ信託銀行は住宅ローン事業そのものからの撤退を、それぞれ検討しているという内容です。これらは、住宅ローンをめぐる事業環境、金融政策による収益環境、技術進歩を踏まえた金融機関の経営戦略などの中長期的な変化を反映したものであり、他の金融機関でも同様の動きが出てくる可能性が高いと思われます。こうした動きは、会社員、投資家の皆さんにどのような影響をもたらすものなのでしょうか。