CO2削減のために子どもを産まない?少子化対策の優等生・仏で出生率が低下するワケ
それでもヨーロッパ1位
少子化対策の優等生と言われ、ヨーロッパで唯一出生率が増加したフランスで出生率が下がっています。出生率は2017 年から4年連続して前年を下回りました。2020年は1.84です。それでも、この数値はヨーロッパ1位。福祉国家スウェーデンの1.76を上回っています。少子化に悩む日本の出生率は、2020年9月厚生労働省の発表によると1.36で、過去最小を更新しました。今回はフランスの少子化対策と、この国で子育て中の筆者が感じる日本の課題について考えます。
フランス人夫には理解できない?日本家庭の教育支出がフランスの4倍にも上るワケ
教育は無償であるべきか
ある日、フランスのエリート養成学校であるグランゼコール出身の夫を持つ日本人妻の友人が、嘆きながら私に打ち明けたことがありました。「パリの日本人幼稚園の授業料を、夫が理解しない。夫は『自分はフランスで最高の教育をタダで受けてきた。折り紙や塗り絵のために、なぜ高額な授業料を払うのか』と」なぜフランス家庭における教育費の負担は、低く抑えられているのでしょうか。その理由を紐解いてみます。
コロナ禍が影響?年々犯罪が増えるパリ生活から学ぶ防犯心がけ
コロナ禍で二度もスリ被害に遭遇
昨年、二度もスリの被害に遭いました。23年間のパリ生活で、スリにあったのは計3回。そのうち2回が2020年、コロナ禍の昨年でした。一度目は春の外出制限が開けた6月、オペラ座がある繁華街のエリアで買い物をした後、帰宅してから財布がなくなっていることに気づきました。2度目は秋の外出制限中の11月で、同じくオペラ座エリアの地下鉄改札を通る際、すれ違いざまにiPhoneを取られました。気付きようのない素早さでした。これまでほとんどなかったスリ被害に二度もあったのは、「たまたま」でしょうか。スリたちが「観光客が減ったパリで少ないカモを捕まえるのに必死だ」というような話も耳にしています。筆者がスマホ盗難の被害届を出した警察署の署員は、「このところ窃盗が増えている」とも、こぼしていました。コロナ禍の影響は、パリの治安にも影響を与えているのでしょうか。
パリで子どもがモデルをしたら、11年後にやっと報酬が支払われたワケ
子どもの報酬への考え方は日仏でこんなに違う
長女が7歳の時にパリで服の子供モデルをする機会がありました。エッフェル塔をバックにトロカデロで撮影を行い、その写真が子供雑誌を飾りました。その時の報酬が、じつは撮影から11年を経て、娘の成人と共に娘の手元に渡りました。日本でも、子役や子供モデルが活躍していますが、フランスでもその需要は年々高まっています。しかし、子供の労働条件を制約する規定の細かさ、特にお金の扱いには、日仏間で大きな違いがありました。
ヴィトンやエルメス、仏ハイブランド業界のコロナ禍生存戦略、日本でも限定品が買えるようになる?
世界中で限定品が買えるかも
新型コロナウイルスの影響で観光客がいなくなり、フランスのラグジュアリー業界は大きな打撃を受けています。ルイ・ヴィトンなど高級ファッションブランドを傘下に収める世界最大のラグジュアリーグループLVMHは、2020年上半期の業績をグループ全体で84%減と公表しました。10月4日に永眠した日本人デザイナー高田賢三氏のブランドKENZOも同グループの傘下に入っています。世界的規模で人々が外出を控え、イベントやセレモニーなどの機会が見送られている今、外出の場面にこそ必要だった高級ファッションブランドはもはや不要なのでしょうか。
リッツ・パリがケーキスタンド!コロナで海外富裕層が消えたラグジュアリー業界の生き残り策
パリの高級ホテル、三つ星レストランの闘い
新型コロナウイルスの影響により、フランスのラグジュアリー業界は大きな打撃を受けました。特に5つ星ホテルや最上級のパラスホテル、ミシュラン三つ星レストランなど、パリのラグジュアリーサービス業界は、売上の大半をインターナショナルな顧客に支えられてきた業種です。日本では政府の「Go To トラベルキャンペーン」で、高級ホテル、旅館が盛況といいます。アメリカ、中東湾岸諸国、アジアといった国々からの富裕層が消えた今、パリのラグジュアリー業界は生き残りをかけ、どのような取り組みを行っているのでしょうか。
欧州のバカンスはどう変わった? ローカル線での国境越えは「PCR検査なし」
国によっては隔離期間もあり
コロナ禍の今夏、日本はもちろんのこと、どの国に暮らしていても移動は大きな関心事です。ヨーロッパ内の移動はどんな状況にあり、人々はどう対応しているのでしょうか?
「売春」を処罰しないフランスで、性労働者が「買春合法化」を訴える理由
まずはイメージの一般化を
「売春」という言葉から、何をイメージするでしょうか。安易に現金を得る方法、犯罪、非衛生的、モラル面でも不健全……。では「性産業」と考えた場合はどうでしょうか。やはりネガティブなイメージばかりが浮かぶでしょうか。世界中を広く見渡せば、性産業を法で認めている国は少なくないとしても。「多くの科学的な調査結果が、健康を守りHIV感染を抑える最も有効な手段は(買春の)非犯罪化であると説明してもいます。まずは非犯罪化を実現する。これがセックスワーカーの抱えるあらゆる問題を解決するための、最初の一歩なのです。」インタビュー「コロナ禍でフランス4万人の性産業従事者はどう影響を受けたのか」で語られた、性労働者協会連合(STRASS)会長シベル・レスペランス氏の言葉です。
コロナ禍でフランス4万人の性産業従事者はどう影響を受けたのか
立場向上へ向けた非犯罪化運動
新型コロナウイルスは世界中の国々を脅かし、現時点で50万人近い人命を奪いました。加えてロックダウンの影響で、収入を絶たれた人や経済的に困難な状況に追い込まれた人が非常に多いことも、各国で問題になっています。国は変われど、最も打撃を受けているのは社会的に弱い立場にある人々、つまり低所得者や、非正規雇用で働く人々。フランスでは、性労働者が直面している困難についても頻繁に各メディアで取り上げられています。一方、コロナ禍中の日本では、水商売や性産業を補償の対象外とすることへの抗議が報じられました。最終的には職業の差別なく支給される運びとなりましたが、たとえ合法的な労働者や事業主であっても、性産業従事者は公の場面で偏見の被害をこうむることがあるという現実が明らかになったといえます。連帯と寛容を掲げる国、フランスの性産業従事者の場合はどうでしょうか。コロナ禍において、会社員や自由業と同様の補償を受けることはできたのでしょうか。また性産業そのものに、新型コロナウイルスはどのような影響を与えているのでしょう。これらの疑問を、性労働者協会連合ストラス(STRASS)会長のシベル・レスぺランス氏に投げかけ
「100%フランス製」マクロン大統領のマスクが人気の事情
フランスが模索するニューノーマル
フランスは、外出制限解除から1ヵ月以上が経過しました。6月14日には4回目となるマクロン大統領のテレビ中継があり、ヨーロッパ内の移動や、パリを含むフランス全土の飲食店の営業、義務教育などが通常復帰すると発表されました。つまり、マクロン大統領の言葉を借りるなら「本来のフランスらしい生活習慣と、自由の喜びをもういちど手にする」段階にあります。これらを通して、新型コロナウイルスと共に生きるニューノーマルとして、フランスでも新習慣が定着してきました。
外出制限解除のフランスで高まる「地方の庭付き一戸建て」ニーズ
空間と時間の価値を再考へ
2ヵ月にわたる外出制限が解除されたフランスは、この経験をもとに今後どのような社会を目指すのでしょうか。エコノミーとエコロジー、どちらを優先するべきなのか?効率的な社会と公平な社会は?世の中はより良い方向に変わることができるのか?さまざまな問いが人々の関心にのぼり、仏メディアでも盛んに取り上げられています。これらの話題から、確実に変わると見られている価値観をいくつか取り上げたいと思います。
フランスが「コロナ給付金」を惜しみなく払えた理由
手続きから1週間で振り込み
5月11日、フランスで2ヵ月間にわたった外出制限が、ついに解除されました。現時点ではまだ制約は多く、ラッシュアワーの通勤や100Kmを超える移動には引き続き証明書が必要です。また、レストランや映画館等の再開判断は6月2日の発表を待たねばならず、完全な解除とは言えません。それでも、これまで休業していた必要最低限以外の商業施設が営業を再開し、好きなときに外を歩ける自由が人々の暮らしに戻っています。厳しかった外出制限をフランス国民が貫徹できた背景には、さまざまな給付金や補償があります。どのような補償があり、どのように支給されたのでしょうか。
自由を大切にするフランス人が「外出制限」でもポジティブな理由
長期戦を戦う柔軟な発想力
マクロン大統領のテレビ演説で、フランスの外出制限は5月11日以降、段階を追って解除されることが明らかになりました。新型コロナウイルス対策として3月17日正午に始まったフランスの外出制限は、これで暫定的に通算8週間となる見通しです。外出制限は、ほとんどのフランス人にとって人生初の体験です。現在フランスは、必要最小限の外出のみ許され、外出には必ず移動証明書を携帯。違反者には138ユーロ(約1万6千円)の罰金が課される生活が続いています。この前代未聞の事態を、日頃拘束されない自由を何より大切にするフランス人自身が、一番心配したことでしょう。ところが実際は、過去にフランスではジスカール・デスタン元大統領が「フランスには原油はないが、アイデアはある」という言葉を残したように、外出制限に入るや否や、柔軟にポジティブな動きを見せました。
「第二次世界大戦を思い出す」92歳が語るフランスのロックダウン生活
パリの外出制限はどうなっているのか
フランスではロックダウンから3週間が経ちました。フランスで初めての新型コロナウイルス感染者が確認されたのが1月24日。中国の武漢を経由した3人の中国人観光客からでした。1ヵ月後、フランス政府は感染症対策ステージ1を適用。それ以降も、フランス政府は感染拡大を食い止めるべく、順にステージを上げながら対策を続けました。しかし感染は拡大し、3月17日正午、フランス政府は人々の外出を制限。ロックダウンが始まりました。今、パリの人々の目に外出制限はどう映っているのでしょうか。
フランス人がパリで造った「日本酒」はどこがすごいのか
ワイン造りの発想で、玄米を磨かず使用
日本酒がパリでフランス人の手により造られる時代になりました。手がけるのはニコラ・ジュレスさん。「AYAM(アヤム)」と名付けられたその清酒は、ジュレスさんが経営するパリ唯一のジン蒸留所「ディスティルリー・ド・パリ」で醸されています。ジュレスさんは2019年11月に自身が手掛けた清酒150本を初めて出荷。翌1月にはほぼ完売させる好調な滑り出しになりました。パリ10区にあるジュレスさんの店舗で、酒を造るようになった経緯をうかがいました。