日本株相場も下落…アメリカ政策金利の据え置きは市場にどのような影響を与えた?
米国株式市場は大幅続落
市場の注目を集めた9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)は大方の予想通り、政策金利の指標であるFFレート(フェデラルファンド金利)の誘導目標を5.25~5.50%で据え置きました。しかし、同時に発表された経済見通しではFOMC参加者によるFFレートの予想中央値は2023年末時点で5.6%。今回は利上げを見送ったものの、年末まであと1回の利上げを示唆しています。FOMCは年内にあと2回、開催が予定されています。10月31日~11月1日、12月12~13日の残り2会合のどちらかで、利上げを行うことが適切と考えているFOMCメンバーが半数以上いるという結果がドットチャートで示されました。ここから市場はFRB(米連邦準備制度理事会)が利上げに固執する強固な姿勢を読み取りました。
下落トレンド入りのサイン「三尊天井」が出現…それでも悲観的になる必要はないと考える、夏特有の要因とは?
米消費者物価指数が転機となるか
日経平均は7月の第一営業日に目先の高値をつけた後、元気がありません。6月までは月間ベースで6連騰、つまり毎月上昇する相場が続いてきましたが、年後半に入ったとたんにその勢いは失われてしまいました。日経平均の日足チャートを見ると、上述の通り7月3日の高値3万3753円を頂点として、その前の高値6月16日の3万3706円と、その後の高値8月1日3万3476円の3つの山が並んでいる形状です。こうしたチャートの形状を「三尊天井(さんぞんてんじょう)」(英語でヘッド・アンド・ショルダー)と言います。出所:マネックス証券サイト三尊天井は相場が目先の天井を打ったサインとされ、これが示現するとその後は下落トレンド入りとされます。果たして日経平均は心理的な節目である3万2000円を下回り、本稿執筆時点ではいまだにその水準を回復できていません。今年も後半戦に入り、はや2ヶ月が経とうとしていますが、日本株はこのまま再浮上のきっかけをつかめないまま調整局面が続くのでしょうか?
6年ぶりの止まらない米国株の上昇。世界経済が好調も懸念は「中国経済」
日本株相場にも追い風か
米国株の上昇が止まりません。本稿執筆現在(7月26日、米国は25日)ダウ工業株30種平均は12営業日連続で上昇しています。12連騰は2017年2月以来、6年5カ月ぶりのことです。
33年ぶりの日経平均高値はバブルではない。その要因となったのは企業の資金不足?
設備投資が好循環の鍵に
株価が上がってくると「バブルだ」という人がいます。今の株高は実体経済を表していない、というのです。しかし、実体経済とは何を指すのでしょう。経済は目に見えませんからGDPなどの経済指標で確認することになります。主要エコノミストの予測では2023年度の名目国内総生産(GDP)成長率が4%と32年ぶりの高水準になるといいます。この春の賃上げ率は30年ぶりの高い伸びとなりました。
日経平均が約33年ぶりに高値を更新したのはなぜ? 金利、企業業績、それ以外に考えられる要因
バフェット、PBR改善要請の影響か
日経平均がバブル崩壊後の高値を更新しました。その後も買いの勢いは衰えず3万1000円の大台も越え、1990年7月以来、約33年ぶりの水準まで上昇しました。日本株が急伸した背景として様々な要因を指摘できますが、まずはもっとも基本的なことを確認しましょう。
景気後退確率は「100%」の水準…、それでも米国景気はマイルドな景気後退で済むと考える理由
悲観派と楽観派それぞれの根拠とは?
25日の米国株式市場でダウ平均は前日比344ドル安と大きく下げました。景気不安の再燃が相場下落の要因でした。今の株式市場の最大の関心事は米国景気の行方ですが、これについては見方が分かれています。米国経済は景気後退が不可避であると主張する向きもあれば、ソフトランディングどころかNoランディング(極端な景気の落ち込みなしに景気が再加速していく)との見方まであります。
シリコンバレー銀行の破綻、リーマンショックやその他の金融危機と何が違うのか?
リスクはわれわれの心理にある
シリコンバレー銀行(SVB)破綻に端を発した金融システム不安は欧州に飛び火し、クレディスイスがスイスの大手銀行UBSによる救済合併を受けました。それでも市場の不安心理は収まらず、今度はドイツ銀行の経営不安が取り沙汰され同行の株価は急落しました。売り圧力はドイツ銀行だけにとどまらず、欧州の銀行株は軒並み大幅安となりました。先週末のNY市場は欧州株安を受けて軟調に始まりましたが、終値では前日比プラスで引け、週明けの東京市場も3日ぶりに反発しましたが、上値の重い展開でした。株式市場では金融システム不安が拭い切れていない印象です。市場はいったい、何を恐れているのでしょうか。それはおそらく市場自身もわからないのでしょう。「リスクは定義できればリスクでなくなる」という金言がありますが、まさに今の状況に当てはまる言葉です。「わからない」ということが、いちばん怖いことなのです。
日本電産、住友化学、村田製作所…グローバル企業の下方修正。上場企業の業績は本当に厳しいのか?
株式市場はどう受け止めたか
2022年度第3四半期の決算発表が一巡しました。改めて今回の決算を振り返ってみましょう。
インフレのピークアウトか。「株式投資には好ましい環境になってくる」と考えうる要因
物価上昇率は鈍化していくか
日経平均、TOPIXともに昨年12月20日の急落、いわゆる「日銀ショック」の前の水準を取り戻しました。株式市場が「日銀ショック」を乗り越えたと見ていいでしょう。その背景は、市場が日銀の政策変更を「実質利上げ」ではないことをようやく理解したということだと考えます。
2023年のアメリカ経済はどうなっていくか。年後半に米国株の大幅高を予想する理由
インフレは大きな問題ではなくなっている
今年もいよいよ残り少なくなり、様々な金融機関から出される来年の相場見通しも出そろった感があります。ざっとまとめると、コンセンサスは以下のようなものでしょう。・今年、猛威を振るったインフレはピークアウトの兆しがあるものの、まだ高い水準にとどまる。・よって米連邦準備理事会(FRB)は引き締めを当面維持する。・したがって米国景気は一段と減速の度合いを強め、リセッション(景気後退)入りが濃厚となる。ここまではコンセンサスができているといってもいいでしょう。問題は、その後の見通しが分かれることです。
米国経済の最後の砦、労働市場も減速傾向に。それでも米国経済にとってチャンスといえる理由
在宅勤務による労働生産性の低下が懸念
11月4日に発表された米国の雇用統計によれば10月の非農業部門雇用者数は前の月より26万1000人増加しました。19万人強を見込んだ市場予想を上回りました。平均時給は前月比0.4%増と、前月(0.3%増)から伸びが加速しました。市場予想は0.3%増でした。ただし、雇用は強いように見えて、雇用の増加ペースは着実に鈍化しつつあります。26万1000人という増加幅は2021年以降で最小です。
米国株が急落するなか、日本株が続伸しているのはなぜか。アメリカと日本の明暗が分かれた要因とは?
本格的なインフレとは程遠い日本
月半ばには3万4000ドルを超える水準まで戻ったNYダウ平均ですが、その後、急落して先週末には3万ドルの節目を割り込み年初来安値を更新しました。ジャクソンホール会議でのパウエル議長のタカ派姿勢や、予想を上回る米国消費者物価の上昇、FOMC(連邦公開市場委員会)で示されたFF(フェデラル・ファンド)金利の将来予想など、市場はサプライズに次ぐサプライズで、波乱の展開になってきたように見えます。しかし、これは市場に「ショック」が走って、リスクオフになっているわけではありません。ジャクソンホールも、CPI(消費者物価指数)も、FOMCも、たしかにいずれもサプライジングな内容で、その意味では衝撃的でしたが、市場はそれに反応しているわけではないと思います。米国株は下がるべくして下がっているだけです。いわば、淡々と売られているのです。そこにはショックも不安の反映もありません。その証拠に市場の不安を示すVIX指数は未だ30に達していません(ようやくその手前まで上がってきましたが)。
欧州エネルギー危機に投資家の目が離せない理由。「悪いユーロ安」が米グローバル企業に与える影響とは?
「ドル1強」が鮮明に
ジャクソンホールでのパウエルFRB議長の講演を受けてマーケットは波乱の展開となっていますが、それに先駆けてすでに欧州の株式市場は大きく崩れていました。背景は欧州のエネルギー危機に対する懸念です。ロシアがウクライナに侵攻して以来、地理的に影響の大きい欧州の様々な問題がクローズアップされてきましたが、もっとも危惧されているのがエネルギー問題です。
上半期、株価を下げた3つの要因が好転材料に変わる?米国のV字回復はどこまで続くのか
最悪ではなく、最高でもないのが一番
今年後半の相場展開としてSwing Back 、すなわち揺り戻しの展開になるだろうと述べていましたが、まさに、そのような展開になっています。米国株相場は6月半ばを境にV字回復を歩んでいます。年初の高値から下げた分の半値を取り戻しました。「半値戻しは全値戻し」の格言通り、今後はまた最高値近辺まで戻していくと考えています。
試練のESG投資。日経平均気候変動1.5℃目標指数で探る今後の相場展開
ESGに吹く逆風、見える変化の兆し
2カ月ほど前に日経平均気候変動1.5℃目標指数という新しい指数が開発されました。ベースは日経平均ですが、温暖化ガス排出量に応じて、指数に占める銘柄の構成比率を調整しています。
米国株より日本株が健闘している理由−−世界と日本で違うインフレの捉え方
デフレ脱却へのポイントは?
止まるところを知らないインフレの高まり、それを受けた世界的な金融引き締め、そして景気悪化懸念と株式市場にとってはまさに逆風が吹いています。しかし、その中で意外に日本株は健闘しています。
賃上げの後押しになるか?「悪いインフレ」脱却する変化の兆しとは
インフレの良し悪しを決める鍵
4月の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数)は、前年同月比2.1%の上昇となりました。2%を超えたのは消費増税の影響があった15年3月以来、およそ7年ぶりのことです。
日経平均の上値を抑制する「3つの要因」と中国にみる「新たな不安材料」とは
GW明けには堅調さが戻るか
日経平均は2万6,500円近辺では押し目買いが入るものの、2万7,500円近辺では上値が重くなるといったレンジ相場が続き、なかなか方向感が見えません。膠着感の背景として指摘されるのは、以下の3つです。1)米国金融政策を巡る不透明感2)ロシア・ウクライナ情勢3)日本企業の決算発表におけるガイダンスリスクただ、これらの上値を抑制している要因はいずれ解消に向かうと見ています。順を追って説明していきましょう。