はじめに

商品選びのポイント

杉浦氏: 今までのお話で、制度や積立投資の活用法については分かってきましたが、次は「結局どの商品を買ったらいいのか?」という質問です。

井戸氏: 金、投信、リート、株、さまざまな種類があります。初めて投資するときには個別の銘柄を買うのではなく、投資信託がいいと私は思っています。つみたてNISAの対象は投資信託で、少額で分散投資ができ、同じ債券や株式に投資するにも、投信だと複数の銘柄を組み入れて分散することができるので、非常に分かりやすく簡単です。例えば、株式のインデックスであれば「日経平均」や「トピックス」を見ていただくといいですね。

杉浦氏: 投資信託は、パッケージ商品の総称です。主に株式に投資している投資信託やいろいろな債券に投資している投資信託など、一口に投資信託と言ってもいろいろなタイプがあるんですね。どこの資産に投資したらいいのかですが、代表的な4資産の積立投資シミュレーションがあります。赤色、ピンク色、水色、この国内株式、海外株式、海外債券のほうが、紺色の国内債券と比較してリターンが高いことが伺えると思います。ただ、もちろんリターンが高いものは、下がるときも大きく振れるリスクがあるということで結構ギザギザと動いています。

佐藤氏: 何に投資するかは個人の目標リターンによります。自分のリスク許容度から外れたものには、投資するべきではないと思います。ただ、その中でも長期積立投資を考えるならば、積立投資のメリット、下がったら多く買えるというメリットですね。これを生かしつつ、ある程度のリスクを許容して高いリターンを狙うというのも検討の価値があると考えています。

具体的には、例えば世界経済と連動性が高い世界株式への投資です。今後の世界経済は、人口増加により新興国を中心に拡大することが予想されています。経済が拡大する予想の中で、それとともに株価の上昇が期待できる。ここを狙いにいくのは、とても分かりやすくてシンプルな成長ストーリーとして魅力的です。

井戸氏: ただ、毎年必ず上がるわけではないんですよね。この図は毎年の各資産の年間騰落率です。毎年変わる1位を全部当てられれば、それはすごくいいんですけど、あり得ないわけですよね。この資産を全部8資産均等にすると、赤いところですね、大体平均的なリターンを上げているのが分かるんですね。

私たちはそんなに大きなお金を全部渡すわけじゃないのに、1つの投資信託で資産がこれだけ分散できるのは、やっぱり投資信託の力ですよね。8資産均等のように複数の資産に投資する商品をバランス型といいます。

佐藤氏: 例えば2008年、バランスといってもリーマンショック時は-39.4%程度落ちたりするわけです。昔は、固定配分、資産配分比率が決まっている固定バランスファンドというのが主流だったのですが、リーマンショックを教訓に、今では市場環境にあわせて、株式が下がる場合だったら株式を売って債券にしようという、資産配分比率を機動的に変更するファンドが主流になってきています。特に最近では、具体的に目標のリスクを何%のリスクにしますとか、何%以上落ちないようにします、そういった目安値を設けるファンドも出てきています。

井戸氏: リスク許容度にあわせて選ぶことができる、面白いファンドが増えてきましたよね。

杉浦氏: 資産として選ぶとすると、一つの案として「世界株式」というフレーズが出てきました。それだとリスクを感じる方はバランスファンドを選ばれてみるのもいいのかなと。バランスファンドの中でも、最近だとリスク水準を掲げているとか少し進化したようなファンドもあるので、自分のリスク許容度にあわせて選んでいただけたらと思います。

投資を始めたらもう売買はしなくていい?

杉浦氏: 次の質問です。「いざ投資を始めた場合には、もう売買はしなくていいでしょうか?」ある程度たまってきたり、下がりそうなときには一度売却した方がいいのか、そのあたりいかがでしょうか。

佐藤氏: もちろん、定期的に今自分の運用資産がどうなっているかを確認していただきたいのですが、現状をそのまま継続するのも立派な投資判断だということは覚えていただきたいと思います。

例として、こちらのスライドは先進国株式のパフォーマンスです。これは一括投資で、水色の線が先進国株式の推移になるわけですけども、一見して顕著に推移しているなと見て取れるかと思うのですが、実は10年間運用した中で上位12日間を全部0%に入れ替えてみると実はマイナスリターンになってしまう。この赤色の線ですね、99.9%。10年間でたった上位12日間を0にするだけで、もうマイナスの事態になってしまいます。

何が言いたいかというと、途中で怖いなと思って売却することもあると思うのですが、こういった上昇を取れないというリスクもあるわけです。しかも、それをピンポイントで狙うのはプロでも難しい。安いときに買って高いときに売るのは極意なわけですが、それを日次ベースでやるのはどうしても難しい。

だからこそ、長期的に上昇が見込めるものに継続して投資することで、プラスであったりマイナスであったりを両方取りながら、結果的にこちらの例のように190.1というプラスを取りにいく。そういう方法が現状を継続するという投資判断だと言えるわけです。

杉浦氏: 運用している間であればマーケットにいること、継続保有し続けるのも立派な投資判断の一つだということで、継続的に持っていただくのも運用の選択肢としてあるのかなと感じます。

佐藤氏: もし、お金を使う予定があり、解約のタイミングが決まっている場合はリスクをだんだん低くするのもありだと思います。ピンポイントでプラスのタイミングで解約できるかはわからないため、徐々にリスクを抑え現金化していくということです。継続的な運用は続けていただきたいですが、ご自身の資金ニーズや運用状況をふまえて、時にはこういった判断も必要かと思います。

杉浦氏: 「やめる」ということと、「下ろしちゃダメ」ということは違うということですよね。

最後に、ポイントを3点にまとめさせていただきました。

  1. 制度を活用し非課税メリットを享受
  2. 積立投資のメリットを生かした長期視点の運用
  3. 商品特性の理解と自分に合った商品選び

ほんとにどれが必勝ですということはないと思いますので、自分の家族構成などに合わせて制度をうまく組み合わせて活用し、商品を選んでいただけたらと思います。

佐藤氏: 「なぜ長期投資がいいか」ということですね。株式であれば配当金ですし、債券であれば利息、リートであれば家賃収入が配当金になるのですが、長期で持っていただければだんだん積み上げることができるわけです。

短期は何でみんな売ったり買ったりで儲かっているかというと、やっぱり誰かが損するから誰かが儲かるという世界なわけなんです。みんながハッピーになれるところが長期投資にあるんです。短期投資と長期投資で戦っている人たちが全然違うので、ぜひ皆さんは長期投資のほうに目を向けてじっくりコツコツ投資していただきたいなと思います。

井戸氏: 1回お財布に入ったものをもう1回出して、自分のところから出して積立をするのは、なんか嫌じゃないですか。積立というのは、定期的に自動的に引き落とされるところが一番いいわけです。iDeCoにしろ、つみたてNISAにしろ、口座からあらかじめ引かれて知らない間にお金を積み立てていってるわけです。だから、計画が出来ます。いくらだったら将来のためにお金を増やして育てていけているのかなというのを、ぜひ洗い出してみてください。

それでストレスがかからないことが一番だと思います。知らない間にお金が貯まっていて、後でふたを開けてみたらハッピーだったというのが一番いいじゃないですか。

もちろん、1年に1回とか半年に1回運用状況をチェックをする。今、私に合ってるのかなというチェックをする。これは大事ですけれども、あえて何か変えないといけないわけでもないので、とにかく知らない間に天引きで先送りしていることだけのシステムをまず作っていただければいいんじゃないかなと私は思います。

杉浦氏: こちらで第2部のパネルディスカッションを終了とさせていただきます。ご静聴いただきまして誠にありがとうございました。

この記事の感想を教えてください。