はじめに

『勝つ戦略』とは

不動産投資は、どうやって物件を見つけるかだけではなく、その後家賃をどうやって安定させるかと、どうやって売却益を確実なものにするのかを考えないとトータルで成功できません。

ここで多くの方が悩まれるのが「いつ仕込むのか」ということです。不動産価格は上がったり下がったりします。利回りが2%台でも取引が成立するようになったのがバブルの絶頂期、1990年当時の状況でした。その後、バブルが弾けたら、10%ぐらいの物件が流通するようになった。それが1993年頃です。その後、ミニバブルということで、2007年頃は3%台ぐらいで取引が成立するようになっている。その後、リーマンショックとサブプライム問題の影響で、東京近郊でも10%の物件がリリースするようになったのが2009~2012年。今はマーケットが盛り上がっているから、大体の目線は5.5%ぐらい。投資家の期待利回りは過去、2%と10%の間で行ったり来たりしています。

やっぱり底値のときに仕込みたいと思うのが人情じゃないですか。ところが、不動産投資の世界では、そうとは限りません。今みたいな盛り上がっているときのほうが投資のタイミングとしてはベストです。

なぜかといえば、「レバレッジ効果」という“テコの原理”が効くからです。安い調達金利を組み合わせると、投資のパフォーマンスが上がります。実際に底値で買った場合と、今みたいな盛り上がっているマーケットで買った場合のパフォーマンスを比較してみましょう。

2009年から2010年にかけて、東京近郊でも利回りが10%の物件はありました。800万円の不動産であれば、年間家賃収入は80万円です。悪くない投資ですよね。

でもこの場合は、自分の資産ボリュームは増えていません。800万円の現金で、800万円の不動産を買っているからです。なぜ現金でしか買えないかというと、融資してくれないからです。リーマンショックの後に金融庁が融資姿勢の厳格化を求めた結果、貸し渋り、貸し剥がしが騒がれました。底値の物件が出る時は、確かにお買い得ですが、融資がつきにくい。現金買いがメインになってきます。その場合のパフォーマンスは10%のままですが、今のような低金利だと、どれくらいのパフォーマンスになるでしょうか。

当時と比較して、今の物件価格は1.5~1.6倍ぐらいになっています。割高じゃないかと思われるかもしれませんが、金利を考えると大きく違います。

仮に100万円の頭金で、さきほどの物件に投資したとしましょう。当時よりも価格が上昇しているので、ローン額は1,100万円です。家賃収入は同じ80万円ですが、金利が安いので元本と金利を払った後に手元に残るお金は実は31万8,000円です。

自分が出したお金は100万円。これに対して、入ってくるお金が31万8,000円なんです。ということは、利回りが31%。これがレバレッジ効果です。

もともと800万円の現金を持っている人は、底値の時、つまり銀行があまり融資したくない時は800万円の不動産を1個しか買えません。しかし、今なら100万円の頭金で1件買えるということは、理論上は8物件買えるという計算になります。31万8,000円×8=250万円です。

この場合、自分の資産ボリュームは増えています。1,200万円相当の不動産が8件ですから、9,600万相当の資産を持っているという計算になるわけです。当然、銀行の担保がついていますが、不動産は長く運営していけばローンの返済が進んでいきます。これが不動産投資の魅力です。

このレバレッジ効果を左右する1つのファクターに「イールドギャップ」があります。借入の金利とその不動産のパフォーマンスの差をいうのですが、これが大きければ大きいほど、不動産のレバレッジ効果は高くなります。

今は空前の低金利です。優良なノンバンクだと1.6%ぐらいでファイナンスを引っ張れますから、不動産のパフォーマンスが大体5.5%だとしても、4%ぐらいのイールドギャップがある。そうすると、レバレッジ効果が取りやすくなるわけです。

なので、底値のときに買う場合と、今みたいな金利が低いときに買う場合は、ほとんど運営のパフォーマンスは変わりません。今は不動産価格が上がっているから、月額の返済額も上がるのではないかと思われるかもしれませんが、金利が半分ぐらいなので、同じ期間、年数でローンを組むとほとんど違わないんですよ。いかに安い金利でお金を調達できるか。これが不動産投資の成功を大きく左右するファクターです。

ここからは3つの戦略、どうやって不動産投資を成功に導くかを話します。

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