はじめに

その3:アービトラージ戦略

最後は売却のためのアービトラージ戦略ですね。不動産というのは残念ながら未来永劫(えいごう)収益が取れる物件じゃありませんから、どこかで売却して利益確定をしないといけない。

アービトラージというのは、裁定取引と訳される金融取引用語です。値付けのルールが違う市場の間で取引をすることによってリスクなくリターンを増やす行為、これがアービトラージです。

例えば、新築物件と中古物件のアービトラージ。新築物件は中古物件の相場と確実に値段が違いますよね。だから新築プレミアムみたいなものがあるわけです。これが1つのアービトラージの使い方です。

また、リノベーションの定義は相場より高い家賃が取れるということです。つまり、値付けのルールが変わるということじゃないですか。これもアービトラージの1つです。リノベーションアービトラージというものを活用することによって、不動産の投資パフォーマンスを上げる方法を考えていきましょう。

リノベーションアービトラージとは

私たちは平均的に2割、相場より高い家賃設定をすることができます。あらかじめ入居者さまを囲い込んでいるし、データによってどの地域だったらどれだけ賃料が上がるかというのを全部データで解析しています。平均的に2割賃料が上がるということは、どれだけのインパクトがあるか。

例えば100万円を年間取れる物件で、投資家さまの期待利回りが5.5%なので、1,818万円が今のスタートだとしてください。これまでは期待利回りだけでコントロールされていた不動産のパフォーマンスというものがリノベーションでコントロールできるようになった。リノベーションすることによって20%賃料が増えるということは分子が120になるので、この不動産の相場は2,181万になります。さて、ここからマーケットが5%のマーケットになったら、この不動産の相場は2,400万。4%のマーケットになったらこの不動産の相場は3,000万。キャピタルゲインを抜けるじゃないですかということですね。

ただ単純にマーケットが盛り上がったときだから売却益が取れるんじゃなくて、もう一つ武器をつけ加える。リノベーション土地を施すということによってでもキャピタルゲインを取ることができる。こういった組み合わせの戦略なんです。

不動産というのは、インカムゲインとキャピタルゲインの合計額を最大化しなきゃいけないわけです。なので、その後家賃が安定するのか、売却益が取れるか取れないかによって、実際の投資のパフォーマンスが全然違います。実際に賃料が下がったときにどれくらいのパフォーマンスが取れるかと、賃料が下がらずに土地でリノベーションすることによって売却益を取る方法と、いろんな方法が考えられるということですね。

不動産投資が盛り上がっている理由

不動産の世界だけは、今、先読みできますよね。だってオリンピックまではジャブジャブが続いていって、オリンピックが終わったら景気がちょっと悪くなるから、テコ入れのためにまたジャブジャブをするために、一回引き締めを2019年から2020年にするわけじゃないですか。だからこそ、今はジャブジャブが続いているから金利が安いわけですよね、ノンバンクさんとか。

これがアパートローンとかだと結構目線が厳しくなってきましたけど、ノンバンクさんでワンルームマンションの投資でちゃんとした提案をしている会社だったら、いまだに低金利で投資ができるという環境が今整っているので、安い調達金利のうちに自分の資産ボリュームを増やしておく。マーケットが底値になったら、そこの一部をリノベーションして売却益を取る。もしくは一部を売却することによって底値で物件を現金で仕込む。こういう中長期的な戦略を取ることができるのが、今、不動産投資が盛り上がっている理屈なんです。

まとめます。これまでは土地しか、立地しか差別化のポイントがなかった。でもそれだけじゃだめになったので、ものとしての魅力を高めましょうというのがプロダクト戦略でした。でも、ものとしての魅力がお客さまに伝わらないと話にならないので、初めからお客さんを囲い込んでいこうというのがマーケティング戦略でした。そして何もない状態で投資をして途中でこっちに切り替えてあげれば、いつ売却しても売却益が取れる。これがアービトラージ戦略ですね。

私の話は以上とさせていただきます。ご静聴ありがとうございました。

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