はじめに

3.良い銘柄を早く見つけて市場に居続けられるか

運用の種類は、アクティブファンドと、インデックスファンドの大きく2種類に分かれます。

インデックスファンドは、相場全体の市況を示す代表的な指数、例えば日経平均株価、TOPIX、ニューヨークダウがそれにあたります。これに連動することを目標に運用するタイプです。市場の平均を取りに行くタイプと思っていただけたらいいと思います。最大のメリットは、運用者が企業調査やタイミングの判断をする手間がないぶん、運用コストが安いということ。

これに対してアクティブファンドは、運用担当者が独自の手法で銘柄を選び、積極的に運用をしていくタイプです。時間をかけて有望な銘柄を発掘する努力をして、インデックスを上回る成果を目指します。

ここでよく聞かれるが、こういう声です。「長期での運用となるとコスト重視。だから、インデックスファンドを選ぶべきだ」というようなお声が出てくるんじゃないかと思います。この選択肢もとても大事なのですが、それだけにとらわれないでいただきたいということを少しお話ししたいと思います。

皆さんの3つ目の当たり前「コスト重視だ」というところからの少し深掘りです。突然ですが、ここでちょっとクイズをさせていただきたいと思います。

「どちらが優秀なファンドですか?」と書いてあります。この図ではベンチマーク、真ん中の赤い線がいわゆるファンドの基準となる指数、インデックスの動きを示しているところになります。仮にこの赤い線を東証株価指数のTOPIXだとします。そのTOPIXに連動すること目指す青い線のAファンドと、緑の線のBファンドがあるとします。皆さんは、AとBどちらが優秀なファンドだと思いますか。

どう見たって、Bファンドのほうが高いリターンを出していて非常に優秀に見えますね。ですけれども、これはインデックスファンド。あくまで、いかに指数にコピーした動きができるか、ぴったり連動するか。これが優秀さを判断するポイントになりますので、インデックスファンドとして優秀なのはファンドAです。こういう判定になってくるということです。

言い換えればこういうことです。インデックスファンドの場合、もし、組み入れられている銘柄が何らかの理由で急落しても、インデックスファンドのファンドマネジャーは特定の銘柄を売却することはしません。逆に、ある銘柄が大きく上昇して、その銘柄だけをたくさん買いたいと思っても、買っちゃいけないんですね、赤い線に連動しなくなるから。つまり、下落していても、上がっていても、じっと見守る。いかにこの赤い線にぴったり沿うような動きを再現するかというのが、インデックスファンドのファンドマネジャーの腕の見せどころなのです。

もちろん、運用においてコストは安いに越したことはありません。そのこと自体は正しいです。ただ、低コスト=低リスクでもないし、低コスト=高パフォーマンスとも限らない。深掘りすると見えてくる情報です。

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