はじめに

ただし、資金流出が続く投資信託には要注意

つみたてNISAでもiDeCoでも、購入した投資信託の状況は、各金融機関のスマホアプリやウェブサイトなどで簡単に確認できます。

多くの方が気になるのは「買った投資信託が値上がりしたか」だと思います。もちろん大切ですし、その気持ちもわかるのですが、それよりももっと気にしてほしいことが1つだけあります。

それはずばり、投資信託の「純資産総額」がどうなっているかです。

純資産総額は、投資信託が持っている株式や債券などの資産をすべて合計した金額のこと。投資信託の規模を表す金額といってもいいでしょう。

純資産総額は、運用成績が良い(投資信託が組み入れている株式・債券・不動産が値上がりする)と増えますが、それよりも影響が大きいのが投資家からどれだけお金を集められるかです。ですから、資金流入額が多い投資信託であるかどうかは、投資信託を選ぶ上で重要です。

純資産総額(資金流入額)が多く、右肩上がりで増えていればいいのですが、問題は純資産総額が減っている(資金流出が続いている)場合。特に、一気に減ってしまった場合には、不正などの問題が発生した可能性も否定できません。こうなると、値上がりが期待できないばかりか、途中で運用が終わってしまう(中途償還)こともないとはいえません。こうした投資信託を持っているようならば、さっと売却して他の投資信託に乗り換えてもいいかもしれません。

持っている商品(ここでは、投資信託)を売って、別の商品を買って入れ替えることをスイッチングといいます。

つみたてNISAの場合、持っている商品を売っても、非課税の投資枠は復活しません。そのうえ、売って戻ってきたお金で別の商品を買おうとすると、新規買い付けと見なされて、非課税の投資枠を使うことになってしまいます。非課税の投資枠を使い切っている場合には、スイッチングができないことになるので注意が必要です。

一方、iDeCoではスイッチングができます。つまり、つみたてNISAよりも自由に他の投資信託に乗り換えることができるのです。今ではウェブサイト等で簡単に手続きできる金融機関が増えています。あらかじめどう乗り換えるか決めておけば、それほど時間をかけずに手続きできるでしょう。

ただし、投資信託を売って新たに買うということをしていますので、売却時に信託財産留保額という手数料がかかる投資信託もありますので、そういった投資信託を持っている場合は注意しておきましょう。

投資の三原則

堅実にお金を増やす投資の三原則は「長期・分散・積立」。長い時間をかけて、分散投資を心がけ、少しずつ積み立てていくことです。つみたてNISAやiDeCoは、そんな王道の投資を有利にできる制度です。

利益が出るとついそわそわしてしまうかもしれませんが、ここはぐっと腰を据えて、コツコツと投資を続けてみてください。時間は、あなたの資産形成にきっと味方してくれるはずです。

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