はじめに

投資をするなら税制優遇制度を活用して

すでにご自身で始めたのは、つみたてNISAと、確定拠出年金へのマッチング拠出です。資産形成に関する本を読んだり、情報収集したりした上でのことと推察します。いずれも原則、投資信託を毎月積立てていきます。投資信託は投資の一種で価格変動しますから、値下がりのリスクもありますが、長期で積立購入していくことでリスクを抑えて、預金よりもお金を増やせる可能性があります。

さらに、つみたてNISAは最長20年まで収益にかかる税金が非課税。確定拠出年金は、収益にかかる税金が非課税になることに加え、マッチング拠出の掛金を出している期間の所得税・住民税が安くなり、受取り時にも税制優遇が受けられます。この節税効果は大きいです。勤務先に退職金がないのであれば、確定拠出年金を使って節税しながら老後資金を作っていくことがとても大事です。

毎月の積立額は合計4万9000円ですから、65歳までの32年間、仮に年利3%複利で運用できれば、積立てた元本1881万6000円は、3160万6800円に増え、目標の3000万円を達成できます(税金は考慮せず)。ただし、これは単純計算の結果で、実際には投資信託は日々価格が変動していますから、保障できるわけではありません。今後の経済動向により、利回りはもっと低いケース、高いケースがあるでしょう。

また今後変更される可能性はありますが、現在の制度では、つみたてNISAの投資期間は残り19年(2037年まで)、確定拠出年金は原則60歳までですから、これを過ぎた期間の積立は一般口座を使い、収益に課税されることになります。とはいえ、目標達成の可能性はあり、積立のモチベーションが上がりますね。

気になるのが、現在の貯蓄額が少ない点です。この対策は後ほど説明します。

外貨建て年金保険は、費用やリスクを要確認!

一方、IFAから勧められた年金保険は、2.75%の確定利回りで支給額が約束されていると説明されました。

注目したいのは「為替リスクは除き」という点です。これは外貨建てでは2.75%が確定しているけれど、円での受取り時には、為替変動の影響を受けるという意味です。外貨建ての金融商品は、購入時よりも円高になると目減りしやすく、円安になるとより増える可能性があります。為替変動の影響がどうでるかは、時間が過ぎて為替が確定しないとわかりません。また保険には費用や手数料がかかります。もしパンフレット等を受取っているなら、費用と各種の手数料を確認してください。

<外貨建て年金保険にかかる費用・手数料>
・解約時の費用: 途中で解約すると、加入後の年数等に応じて差引かれます。そのため加入してあまり年数がたたないうちに解約すると、元本割れする保険もあります。
・為替手数料: 保険料を外貨に交換したり、外貨から円に戻したりする際にかかります。
・年金支払い中の費用: 年金を管理するための費用として差引かれるケースがあります。

リスクに関する記載があれば、そこも確認しましょう。「市場環境の変化などにより、解約返戻金が一時払い保険料を下回り、損失が生じる恐れがあります」などの記載はありませんか? 保険は手数料や費用の分、元本が減り、さらに運用による損失で元本割れのリスクもあります。

税金面では、生命保険料控除の対象となる契約なら節税効果がありますが、それほど大きくはありません。

まずは、生活費6ヵ月分の確保を

それぞれ、このような特徴があるわけですが、相談者は33歳とまだ若いです。将来、結婚して実家を出る、出産するといった可能性もあります。結婚・出産年齢が平均的に上がっているため、私が受ける家計相談も30代~40代の新婚カップルからのものが増えています。先行きがまだ確定しない時点で、早期に中途解約すると元本割れする年金保険に毎月3万円を投じるのは適切ではないと考えます。

確定拠出年金は60歳までは引き出せませんが、つみたてNISAはいつでも売却ができます。そうはいっても値下がりしているときに売却するのは避けたいですね。

家計状況をみると、早急に増やしたいのは円預金です。ケガや病気による思いがけない入院、結婚のための引っ越しなど、いざという時に備え、最低でも生活費の半年分のお金は、いつでも使える預金で持っておきたいもの。相談者の場合は、生活費が月17万円なので、「×6ヵ月」でざっくり計算しても100万円。現在の貯蓄額は50万円ですから、つみたてNISAの月3.3万円のうち2万円、または外貨建て終保険の保険料を定期預金の積立に変更できないでしょうか? そうすれば2年後には約50万円預金が増え、合計100万円になります。その後は、つみたてNISAを月3.3万円に戻してもいいでしょう。

独身で実家暮しですから、死亡保障はなくてもよいのではないでしょうか? 外貨建て終身保険は死亡保障と貯蓄を兼ねたものです。解約返戻金が元本を下回らない時期と為替の動向を確認し、このまま加入を続けるかどうかを考えましょう。

ご自身で納得して始めた方法で、当初2年間は、運用と平行して円預金を増やすことを検討していただければと思います。

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのFPが答える「みんなの家計相談」の過去の記事一覧はこちらから。

この記事の感想を教えてください。