はじめに
活用すべき「3つの仕組み」
さて、仮に退職金でワンルームマンションの融資を一括返済すると仮定して考えていきます。
その場合、手元の資金と今後貯蓄できる金額をもとに、公的な資産形成の仕組みであるiDeCo、つみたてNISAでの運用を考えます。また、ふるさと納税を利用して、農産物、海産物などを受け取り、食費軽減をはかり貯蓄額を増やすのもよいでしょう。
少なくともこの3つの仕組みは利用すべきです。
また、景気動向を考慮すると、それ以外の部分は基本的に普通預金でコツコツ貯蓄に励んでいくのがよいかと思います。
【iDeCoのメリット・デメリット】
iDeCoのメリットには、節税があります。支払った年の節税になるほか、運用時に利益が生じても税金はかかりません。
受け取るときも公的年金等控除という仕組みがありますので、税金の軽減ができる措置がとられています。こうした仕組みは通常の運用ではありません。この他、運用コストが低いものが多く、積立額も5000円からなど少額から可能です。
デメリットは、仮に52歳から加入した場合、61歳もしくは62歳からしか受け取りができません。ちょうど奥様の場合、定年の年齢と同じ頃のため、問題はないことでしょう。
ただ、途中で止めたいと思ったとしても、継続が前提になりますので、コツコツ励んでいく必要があります。
【つみたてNISAのメリット・デメリット】
つみたてNISAのメリットは、年間40万円までの資金をもとに、最長20年間積み立て運用した結果、増えた金額に税金がかからないということです。
奥様の場合は運用期間を10年程度から検討していくとよいでしょう。場合によっては、そのまま継続し、余裕資金で70歳ぐらいまで運用していくのもよいかもしれません。
つみたてNISAのデメリットは、仮に運用で損失が発生した場合に非課税の恩恵を受けることができないということ。また、途中で売却した場合には「再度同じ金額の投資を」といったことはできず、毎年40万円と決まっている枠内で残った分と次年以降の枠で運用をしていく必要があります。
景気の状況等を考慮しながら運用に努めていくべきですね。
運用で増やすよりも、早めの返済をおすすめする理由
なお、私が同じ状況であるならば、今手元にある1600万円と貯蓄、ないしはつみたてNISAで、2000万円などある程度資金が貯まったら先に融資を返済することを検討します。iDeCoは、老後資金対策と節税を目的に行います。
こうすることで、1.73%とやや高めの金利で支払う利息を大きく軽減できます。
つまり、運用をして増えるか減るかはそのときの状況で変わってきますが、利息は返済を早めるほど確実に軽減できるため、むしろそちらを優先した方がよいのではないかと思うのです。
もちろん、ご希望通り退職金で返済もよいと思います。ただ、老後資金は着実に貯める点を意識しつつ増やすのをご希望であれば、先に融資を返済し、入ってくる家賃をiDeCoやつみたてNISAの投資資金にあてる方がより効率的だと思います。ご検討ください。
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