はじめに
貯蓄額は同世代の中央値よりもかなり上
手取り20万円のうち、生活費は家賃込みで12万5,000円とスリム化されており、残りの7万5,000円は、貯蓄や投資に明確に振り分けておられます。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」[二人以上世帯調査](2020年)によると、20代の貯蓄額の中央値は135万円となっているのに対し、ご相談者は、20代半ばで370万円もの金融資産をお持ちなのも納得です。
これから生きていく中で、ライフデザインが変化していく可能性はありますが、現時点で、自分らしい生き方をイメージし、ライフプランを立てておくことは大切なことだと思います。
老後資金の目標額は2000~2500万円
まず、ご相談者の優先事項である、安心して老後を過ごすための必要資金からみていきましょう。
現状、家賃を差し引いた生活費は7万2,000円ですが、マンション所有による管理費・修繕積立費の支払い、水道光熱費や医療費の負担増、物価の上昇なども考慮し、余裕をみて、月額11万円程度としましょう。また、固定資産税や火災保険料、旅行代や電化製品の買い替え代、社会保険料など30万円を加えると、年間の支出は160万円程度となります。
一方、ねんきんネットからお調べいただいた公的年金の概算は年額120万円とのこと。老後、公的年金では足りない生活費は年間40万円程度なので、65~95歳までの30年間で1,200万円、100歳までの35年で1,400万円になります。生活費の不足分に、購入したマンションのリフォーム代や給湯器の買い替え、介護費用や死亡整理費用などの備えを加味すると、老後資金の目標準備額は2,000~2,500万円が目安になります。
35歳で1500万円のマンションを購入した場合、キャッシュ・フローはどうなる?
30~35歳で終の棲家としてマンション購入を計画されておられるそう。予算を抑えるなら新築より、中古の方が割安ですが、50年、60年と生涯にわたり住める物件か、しっかり吟味して選ぶようにしてください。
【図1】は、35歳で物件価格1,500万円、諸費用150万円でマンションを購入した場合のキャッシュ・フローグラフです。住宅ローンは、頭金200万円を入れ、借入総額1,450万円、返済期間25年、金利は全期間固定で2.0%としています。
【図1】は、あえて、運用を考慮しないパターンでシミュレーションしたものです。65歳まで月額手取り20万円を維持できた場合、運用しなくても、退職時期の貯蓄額は約2,300万円となっています。グラフの水色の運用商品は、iDeCoの積み立て額を表していますが、毎月2万3,000円を積み立てれば、60歳時点で1,000万円ほどになります。iDeCo以外の貯蓄も60歳時点で800万円ほど貯まり、住宅ローンが完済した60歳~65歳までの5年で、さらに500万円ほど積みあがっているのが分かります。