はじめに

相談者のケースでのiDeCoの最適な受け取り方は?

本ケースは、税金計算が複雑なため、結論の所見を先に申しますと、ご相談者の場合、基本的には60歳で退職金と一時金で受け取る場合のほうが、年金形式で受け取るよりも手取り合計は多くなりそうです。年金形式の場合は他の公的年金との合算で税金も変わりますが、簡易試算では一時金の方が20万円ほど全期間トータルの税金が少なくなりそうです。

一時金での受け取りを前提に考えて、退職金を60歳で受け取り、iDeCoの掛け金拠出や一時金受取を最大に延ばし、75歳時に一時金受け取りにすると、非課税での運用成果による増減もありますが、税務上も有利に受取額を最大化できる可能性が見込まれます。

あるいは、可能性の話ですが、もしも事業主側が可能であれば、退職金受給を65歳などにでき(正確には46歳の受け取り時から丸14年間経過後に受給する)、同年度にiDeCoの一時金を受け取れば、退職所得控除の重複による除外がなくなりますので、税務上はより有利に受け取れます(説明は後述)。

ご質問の「一度退職金を受領したため勤続期間が短くなり、かなり損になってしまうのでしょうか」という点は、確かに46歳時点で退職金をもらわず、60歳で前回退職金とiDeCoを全て合わせて受け取る形が取れていれば、退職所得控除の計算で転籍前の勤続年数を含め控除が使えるので、それが一番得ではありましましたが、今から戻れないので致し方ないかと思います。

一度退職金をもらってから14年以内にiDeCoの一時金を受け取ると損になる

本ケースでは、会社からの退職金とiDeCoの受け取り時期により、退職所得控除に重複期間の影響があります。

複雑な部分があるので、お調べになったものの分からなかったということですが、退職金をもらってからiDeCoの一時金まで14年間(前年以前14年以内に退職金受領)までは、勤続年数(iDeCo加入期間)の重複期間の年数は退職所得控除から除外されます。前回46歳時に受領した退職金から14年間離して受領すればこの影響はなくなります。最大の注意点は、現業事業者の退職金を受けた数年後などにiDeCoの一時金を受け取ると、iDeCoの退職所得控除でほとんどが重複期間になり税務上かなり不利になりますのでご留意ください。

一般論としては、事業者からの退職金とiDeCoの一時金は退職所得の計算では合算しますので、例えば事業者からの退職金で退職所得控除を使い切るとiDeCo分の税負担は大きくなりますが、相談者は事業者からの退職金は150万円と退職所得控除よりかなり少ないことが見込まれるため、この心配は少ないでしょう。

具体的には、60歳での退職金受け取り時には、前回46歳のときの退職金受け取りがありますので、44歳から46歳までの退職所得控除の重複期間の控除額減の影響は、2年数ヶ月と見た場合に年未満切り捨てになりますので、40万円×2年の80万円です。この分が退職所得控除から引かれてしまいますので80万円×1/2×税率分(退職金の金額を考慮すると所得税率20%想定)で約8万円+税率10%の住民税4万円で、約12万円ほど不利になりそうです。

上述の通り、前回の退職金から14年間以上離して現事業者からの退職金をiDeCoと同年度に受け取ると控除額減の調整はなくなります。60歳で現事業者から退職金をもらい14年間経過した75歳でiDeCoの一時金を受け取ると退職所得控除の計算という点からは有利になります。

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