はじめに
拠出期間を延長し、一時金受給を後ろ倒しするのもあり
また、絶対の正解はなく完全な私見ですが、私が相談者の立場でしたら、手元に7,000万円という金融資産があり、特別な事情がなければiDeCoの受け取りを急ぐ必要もないので、拠出期間を最大化し65歳まで延長し、一時金受給を最も後ろの75歳にするという選択を考えるかもしれません(年金受給での併用も検討するかもしれません)。
これは非課税運用期間をより長期にして生涯での手取り総額を最大化しようという積極的な選択ですので、運用リスクの不確実性や前提となるその他の要因、まとまったお金をいつ得たいかという老後の生活設計などを踏まえて慎重な検討は必要です。
場合によっては一時金と年金の併用も検討されてもいいでしょう。投資運用リスクを避け、早めに一時金を受け取りたいのであれば、退職所得控除の重複期間は仕方ないので60歳で現事業者からの退職金と同年度に受け取るのがいいでしょう。
iDeCoの受け取り方と税金の基本
iDeCoは一時金として一括で受け取るか、年金として分割して受け取るか選択でき、またその2つを組み合わせて一部を一時金として受け取り残りを分割で受け取るということも可能です。
【iDeCoの受け取り方3つ】
(1)老齢一時金:一時金として一括で受け取る
(2)老齢年金:5年以上20年以下の有期年金として分割で受け取る
(3)併用:老齢一時金と老齢年金を併用する
受け取り方の選択により所得税の課税形態が異なり、掛かる税金が変わってきます。
【iDeCo受け取り時の所得税】
一時金:退職所得(分離総合課税:他の給与所得等とは合算しないで総合課税の税率が適用)
年金:公的年金に掛かる雑所得(総合課税)
【退職所得にかかる税金の計算式】
(収入金額 – 退職所得控除額) × 1/2 = 退職所得の金額
退職所得の金額 × 総合課税の税率 = 退職金に掛かる所得税
ポイントは、退職所得控除を引き、1/2と半分になり、総合課税の税率は他の給与等と合算しないで退職所得のみで計算するということになります。
【退職所得控除額の計算式】
・勤続年数(iDeCoの場合は加入期間)をAとして、
Aが20年超(本ケースでは該当しません)
→ 800万円 + 70万円 × (A – 20年)
・Aが20年以下
→ 40万円 × A (80万円に満たない場合には、80万円)
*他の退職金受給との重複期間調整は後述
【公的年金等の雑所得の計算式】
公的年金等の雑所得=収入金額-公的年金等控除額
収入金額は国民年金・厚生年金とiDeCoの年金受給の合算になります。iDeCoは最大20年間にわたって分割で受け取る事が可能であり、初回を70歳までに受け取り開始にすれば構いません(法改正後は75歳までに初回開始)。そして分割での受け取りは国民年金や厚生年金と同様に公的年金扱いとなり、所得の種類としては雑所得という扱いになります。
公的年金等控除額は、年金収入に応じて計算式があり控除額が変わります。公的年金等控除額により65歳未満は年60万円までは非課税、65歳以上は年110万円までは非課税になります。