はじめに
年金で受け取る場合
iDeCoを年金(分割)で受け取る場合には、公的年金等控除が適用されます。
年金で受け取ると「雑所得」となり、公的年金の収入とiDeCoの収入の合算の金額から公的年金等控除を差し引くことができます。公的年金等控除額は65歳未満と65歳以上で異なります。
公的年金等の所得額=公的年金等の収入金額-公的年金等控除額
分割して年金として受け取る場合には、受取期間や受取回数は金融機関で異なっていて、選択肢はさまざまです。5年以上20年以下の有期年金として受け取ることが一般的です。
65歳以上になると、多くの人が公的年金を受け取りはじめるので、公的年金とiDeCoを合わせるとiDeCoの収入分が課税させてしまうケースが多くなります。まだ受け取っていないiDeCoの残高分は、運用成績によっては受取額を増やせる可能性があるとはいえ、年金受け取りでの課税はデメリットです。雑所得が増えると所得税や住民税が上がり税負担が増えるだけではなく、健康保険料や介護保険料にも反映し、さらに負担が増えます。そこで公的年金収入がないうちに公的年金等控除を活用し、60歳から65歳までの5年間で受け取る方法も一案です。
受け取り時に注意したいこと
退職金がない自営業者や退職金が少ない会社員の場合、一時金で受け取ると退職所得控除により税金がかからないので、お得な受け取り方になるでしょう。しかし、退職金をもらい退職所得控除枠を使い切ってしまうと税金がかかってしまうので、iDeCoの一時金を退職所得控除の枠内でとどめておき、残りを年金でもらう併用のパターンもあります。
さらに退職金とiDeCoの老齢一時金の受取時期をずらす方法もあります。退職所得控除を再度利用するには制限があります。先に退職金を受け取り、後でiDeCoを一時金で受け取る場合15年以上の期間がないと退職所得控除額が調整されます。逆にiDeCoを先に受け取り、5年以上経過して退職金を受け取れば、それぞれ全期間で控除額を認める決まりになっています。退職時期が決まっている会社もありますが、たとえば60歳でiDeCoを受け取り、65歳で退職金を受け取れば、両方の制度で退職所得控除が利用できます。