はじめに
労働者のスキルアップのための「教育訓練給付金」とは
相談者は「教育訓練給付金」を受けられる想定で大学院への進学を検討しています。教育訓練給付金制度が労働者の主体的なスキルアップを支援するために受講費用の一部を支援してくれるため、自己負担額は本来の受講費用より少なくてすむからです。
教育訓練はレベル等に応じて3種類あり、相談者が希望しているロースクールは「専門実践教育訓練」に該当します。これは、「労働者の中長期的キャリア形成に資する教育訓練が対象」とされ、医療・社会福祉関係では看護師や保育士など、情報関係ではITSSレベル3以上のIT関係資格取得講座など、大学・専門学校等の講座ではMBAや法科大学院などの対象講座があります。
最大支援額224万円!?満額受け取れない場合もあるので注意!
相談者が希望しているロースクールは法科大学院で、厚生労働省の検索システムで検索すると全国で8校ヒットしました。一番高額だった大学院の受講料は3年間で408万円(入学料含む)。1年間あたり136万円です。
「専門実践教育訓練」のパンフレット等を見ると受講費用の最大70%支給となっているので、前述の大学院の場合は支給額95万円となって、自己負担は41万円で済むと計算してしまいそうですが、要注意!
パンフレットやサイトをきちんと読めば、実は、1年間当たりの上限額が設定されていて、支給額は年間最大56万円となっていることがわかります。その上、訓練終了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用されないと、年間上限は40万円になってしまうのです。
つまり、相談者が年間受講料136万円で訓練期間3年間の大学院に進学すると、1年間当たりの支給額は136万円×70%と年間上限額56万円のうち、少ない方の56万円となり、3年間合計では168万円になるのです。訓練終了を1年以内に就職できないと金額はさらに少ない120万円です。