はじめに
子どもの教育費と自身の大学院進学、優先度が高いのはどっち?
さて、相談者は大学院で学んだあと、すぐに仕事に就けない可能性があり、就けたとしても現在より収入が低くなる可能性があるとも言っています。
相談者自身の人生を考えるとき、やりがいや生きがいを持てる仕事を選ぶのはとても大切なことです。けれど、同時に、生活するにはある程度のお金が必要で、必要な支出を上回る収入を得られるという観点からの仕事選びも重要です。相談者には家族がいて、特に子どもの必要とするであろう金額は確保してやらなくてはなりません。
子どもの希望以前に、母である相談者自身が子どもに望む教育コースがあり、そのコースは平均よりも高額です。
相談者が大学院進学の費用を負担したにもかかわらず収入が減った場合でも、子どもの教育費を夫と一緒に負担できるのか試算してみましょう。
試算してみて子どもの教育資金が不足するとなったら、「不安です……」などと言っている場合ではありませんよね。相談者は大学院進学をあきらめるのか、大学院後にしっかり稼ぐ仕事に就くのかなど、もっと具体的に考える必要があるのです。
子ども費は個人差・家庭差あり
試算は次の2パターン行いました。
1.収入多め・支出少なめ
2.収入少なめ・支出多め
相談者は子どもの教育コースについて希望があります。中学から私立で、大学または大学院は理系か医療系というものです。かかる費用としては全学部の平均よりお高めコースです。学校により学費には差があるため、試算は文部科学省の調査による平均額で計算しました。つまり、平均よりも高額な学校に通う場合は、さらに支出が増えることになります。
また、現状の家計を拝見する限り、収入や家族数に対する食費や水道光熱費の割合は大きくありません。子どもがまだ年長児・ゼロ歳児と幼いからでしょう。今後は子どもの成長とともに、食費が激増する可能性があるため、パターン2の「収入少なめ・支出多め」に食費を多く見積もったおまけシミュレーションも行いました。食費については、食が細い上に間食もとらない子どもと、運動部に所属して1日5食がっつり食べるし、チキンよりビーフ!という子どもでは、かなりの差があると筆者は感じているからです。