はじめに
最初のうちに買い込めば、かけ算が一気に効いてくる
注目いただきたいのは3番です。ここはカンさんのセミナーでも説明がありましたね。序盤から中盤にかけて下がって、後半戻っている値動き。これがものすごく理想的なんですね。
なぜなら、最初うちに口数を買い込んで、最後にはかけ算でその価額が上がっていれば、口数が増えて価額が上がる。そのかけ算が一気に効いてくるんです。そのため、1万円が8,000円にしかなっていなくても、100万円は104万になって利益が出ている。ここがすごく大事なところです。こういう値動きが一番いいんです。
投資をするとき、みなさんこう思いませんか。
「目先はちょっとリスクもあるよね。トランプ大統領もわかんないし、北朝鮮もあるから少し様子見かな」「でもその後、経済成長があって世界が成長していくのであれば、やっぱりその後って上昇していくよね」。こんな気持ちの方、すごく多いと思いますし、私もそう思っています。
だとしたら、買い方は一番効果が出る積立がいいと思いませんか。こんなふうに買っていっていただけたら、みなさんの資産設計が非常にスムーズになるんじゃないかと思います。
目先よりも「中長期で上昇を期待できるかどうか」
まとめますと、積立投資のポイントは、タイミングを気にせず、できるだけ多くの口数を下がった局面でも怖いと思わずに買い込める。これが積立投資の良さです。しかし、値動きによっては一括投資にかなわないことももちろんある。そのため万能ではない。
でも今の3番のような値動きは非常に効果的です。逆にいうと、ファンドを選ぶときには足元の短期的な動きや目先の上昇ということよりも、中長期に上昇が期待できるかどうか。むしろ最初は下がったぐらいのほうがむしろ買えるんです。
そのためデコボコはあっても、最終10年後、20年後という時点で、上がってるようなものに投資することが重要です。ここがとても大事なところです。
中長期で上昇が期待できるものとは何か
では、その中長期で上昇が期待できるものとは何か。これを知りたいですよね。「今日はそのために来た」と言ってもいいですよね。そこです。私どもは投資信託を作って運用している会社ですから、私どもがどう考えてるのかということをお伝えしておきたいと思います。
20年後、30年後のことは誰もわからないけれども、私どもが中長期で上昇が期待できる資産として、世界株式をご紹介したいと思います。
日本は、バブル崩壊で失われた20年というものを経験しています。実際、20年前と比べ、TOPIXは1.3倍にしか増えていません。そのため日本国民は株式投資で利益を出す経験が少なく、とても残念な国民なのです。
でも、これは日本株だったからそうだったわけです。その20年間、もし世界株式に投資をしていたら、しっかり利益が出ていたんだと一回整理して頭に入れていただきたいと思うんです。
過去20年間、世界経済は着実に上昇をしてきました。一般的に、「経済は人間の欲望ドラマ」と言われますが、その理由のひとつとして、世界経済の約60%が個人消費であることが挙げられます。
日本の人口は減り続けています。しかし、世界で見れば人口は増え続けている。この認識はみなさんもおわかりですよね。人口が増えれば、もちろん消費だって増えていく。つまり経済は拡大していく。経済が拡大すれば、企業は利益が出る。だから株価が上昇する。こういうリンクになっているんです。
20年前、1996年から2016年で世界経済の大きさを示すGDPは、約36兆から71兆ドルです。約2倍になってるんですね。その間、世界株式をお持ちいただいていたら、株式のほうがもっと上がっていました。3倍になっている。こんなふうにきちんとリンクして、その成長をシンプルに享受できる手段が株式だということです。この発想は持っておかないと資産運用になりません。
「投資は怖い」というところから、「債券だけ」「預貯金だけ」というところから、一歩踏み出ないといけない。今日来ていらっしゃるみなさまは意識の高い方々なので、もうおわかりだと思うんですけども、ここは本当にシンプルな原則です。厳しい言い方になりますが、これが信じられない方は投資は難しいんだろうと思います。
世界経済の成長はこれからも続く
予測値ではありますが、世界経済はこの先の20年も、また新興国の勢いが増しながら着実に成長を続けます。2036年、あと約20年後にはまた約2倍に拡大するという予測が出ています。
世界の人口は、2100年ぐらいまで増え続けると言われています。国ごとに見れば、一人っ子政策の中国はもう陰っている。日本はどんどん減っていると言われますが、世界全体で見れば人口はまだまだ増えていくステージにある。
そして人間の欲望ドラマも続きます。先日、ニュースを見てすごくびっくりしたんですけれども、キャッシュレス化がものすごく進んでいるんですよね。中国だともう現金を持って歩かない。スマホ決済で全部済ませるという時代になっている。
中国は、規模の経済も働いてものすごいスピードで、キャッシュレス化が一番進んだ国みたいになっている。それはアメリカを超えるほどのスピードです。
そうすると、困るのはホームレスですね。お金をもらえないので。ホームレスが首からQRコードを下げている。本当にそういう状況になっているのだそうです。
私たちが知っている以上の、想像している以上のスピードで世界の経済は変化しているんです。人口が増えるだけじゃないんです。人口が増えるだけで、もし白黒テレビもそのままで、電話も固定電話だけだったら、経済はこんなに大きくなっていないと思いませんか?
ということは、ここからまたすさまじいスピードの変革が起きてくる。ちょうど今、私たちは過渡期にいて、ここから世界経済が成長していくということがイメージできると思います。
経済の成長とは「消費が喚起される→生産性が上がる→企業の利益が伸びる→そうすれば株価に跳ね返ってくる」シンプルな原則です。
世界株式への長期投資の魅力を感じていただけたと思いますが、一本調子に上がることはないとチャイナショックやリーマンショックみたいなものもあるでしょう。でもリーマンショック……100年に一度の危機と言いますが、積立投資の考え方をしたら100年に一度の大チャンスです。あのときに買えていた方、今かなり儲かっているはずです。
でも、買えないのが人間なんですよね。そうなると、その感情をいかに廃して、その仕組みを作るか。これがどれだけ大切かもわかっていただけるんじゃないかなと思います。