はじめに
投資信託とは「お菓子を詰め込んだ袋」のようなもの
今日この1DAYスクールの中で、運用会社の立場からお話させていただくのは私どもだけになっております。ですので今日のお話の後半では、私どもの商品の具体的なところも少し含めてお話をさせていただきたいと思っております。
投資信託はこのような仕組みですから、投資家のみなさまから見れば少額でプロに任せて分散投資ができる非常に便利な道具だと言えます。
今日はすでに投資信託を持ってらっしゃる方が多いので、このあたりのことはわかっている方も多いと思うんですが、復習がてらお話をさせていただきます。
投資信託をもし例えるならば、ここにあります通り、いろんなお菓子を詰め込んだ袋だと思っていただければわかりやすいかもしれません。この袋の中に何を入れるのか。株式なのか、債券なのか、不動産を投資対象とするREITなのか。
そして、どこのものを入れるのか。日本のものなのか海外のものなのか。そして、それをちょっとずつ詰め合わせたような形にするのかなどによって、そのファンドの呼び名が変わります。リスクやリターンの大きさも変わります。
この袋を運用方法で大きく2つに分けることができます。ピンクで示した「パッシブファンド」、それから水色で示した「アクティブファンド」が大きな2種類になるんですね。
パッシブファンドとは?
パッシブファンドとは、インデックス運用ともよく言われています。インデックスとは、世界全体の指標を示す代表的な指数のことを言います。
具体的には日経平均、TOPIX、ニューヨークダウみたいなものです。こういった指数にぴったりと連動して、同じ値動きをすることだけに注力して運用するのがパッシブファンドという考え方です。市場の平均を取りにいくファンドということになりますから、草食系と言えるのかもしれないですね。そのため、受動的、消極的といった意味がある「パッシブ」という言葉を使って整理することが多くなっています。
最大のメリットは、運用者が企業の調査やタイミングをはかる手間がない。その分だけ運用のコストが安くなっている。ここが大きなポイントです。
アクティブファンドとは?
これに対して水色の袋のアクティブファンドは、運用担当者が独自の手法で銘柄を懸命に調査して選んで、積極的に運用していくタイプです。いわば肉食系と言えるかもしれません。時間をかけて有望な銘柄を探して、インデックスを上回るような投資成果を目指していくというのがアクティブファンド。ゆえに、運用コストは少し高くなります。
投資信託が“始めやすい”と言われる理由
ここまでの整理は大丈夫でしょうか。せっかくですからみなさんにお聞きしてみたいなと思うのが、現在、日本の国内に存在するこの袋の数、つまり、投資信託の本数です。ちょっと聞いてみたいと思います。
3択にします。100本以上、1,000本以上、5,000本以上。どれかに手を挙げてください。
まず1つ目、100本以上だと思う方。
(会場挙手)
では、1,000本以上だという方。
(会場挙手)
いや、5,000本以上だという方。ものすごくよく勉強されてますね。その通りです。
普通のセミナーで聞くと知らない方が多いんですけれども、今日は勉強されている方が多いですね。なんと今、直近で6,100本ぐらいあります。
これだけ膨大な選択肢の中から、自分に合った1本を選ぶのはものすごく難しいなと思われますよね。でも、そこで立ち止まらないでいただきたいなと思います。
今お話ししてきたようなこの袋の中身。つまり何に投資をしているのか。そしてそれが、どこに投資をしているのか。インデックスなのか、アクティブなのか、どのように運用をしているのか。この3つのキーワード。「何に」「どこに」「どのように」。今日はこれをぜひ持って帰ってください。
この「何に」「どこに」「どのように」で整理すれば、6,000本のファンドもだいたい整理ができます。そうすると一気に理解しやすくなります。
実は投資信託はとても使い勝手が良く、税制優遇を使ってできる商品なので、とても始めやすい仕組みになっています。始めやすい環境が整っているところもぜひ押さえていただきたいなと思っています。
具体的に言いますと「iDeCo」「NISA」ですね。ただ、それらのお話につきましてはおそらくこの後、竹川さんからお話があると思いますので、制度の詳細についてはお時間の関係で、そちらに譲りたいと思います。
とにかく運用利益が通常だったら約20%課税されるものが、非課税になるお金の置き場所です。これを使わない手はないと思うんですね。とにかくまずこれを使うところから。使っていない方は始めていただきたいと思います。
iDeCo
左側の表のiDeCo。これは個人型確定拠出年金と言いまして、まさに公的年金を補完するために作られた制度なので、税優遇がとても手厚いのがメリット。ただ60歳まで引き出せないので老後資金用オンリーという考え方になります。
NISA
一方で右側がNISA。これは少額投資非課税制度と言いまして、購入から5年間という期間限定での非課税制度となってます。ただし、途中でいつでも換金ができるので、その便利さはとってもありますよね。
ここには記載がありませんけれども「ジュニアNISA」という制度もあります。20歳未満の方の部分も整っていますし、そして来年1月からはついに「つみたてNISA」という制度も予定されています。
つまり、少子高齢化、老後不安が高まる中、各自が長期で安定した資産作りに取り組めるように今、国がものすごくサポートをしている。後押しをしているんだということをまず知っていただければと思います。
着実にお金を育てる「積立投資」
ここまで簡単に投資信託の仕組み、それから制度についてもお話をしてきました。投資信託が少額で分散投資できる便利なツールであること、iDeCoやNISAの使い勝手もいいな、というところもわかっていただいたと思います。
しかし、みなさんの本音は「そうはいっても、いつ何を買えば手っ取り早く儲かるのかな、そこのところ聞きたいな」だと思います。ちょっとうなずかれてる方がいらっしゃるということは、やっぱりそこを聞きたいなっていうのがあるんだと思います。
私はこういった仕事を長くやっておりまして、マーケットの仕事に20年以上携わっております。そんな中、確実に言えることが一つあります。手っ取り早く儲かる方法がないわけじゃないんですが、ただ残念ながら、それは手っ取り早く大損をする方法になる可能性も高いということです。
これは今までやってきて真実だと思っています。そのため、手っ取り早くではないんですが、下がっても「怖い」と思うことなく、着実にお金を育てる方法はあるんです。それが今日のメインテーマになっている「積立投資」です。
アドレナリンを出して売ったり買ったりする、これも面白い。私は大好きです。そういったものも若いみなさまにはぜひチャレンジしていただきたいなと思っています。
しかし、「老後も含めた資産形成」と考えたときに、今日の積立投資というテーマは、絶対に頭の中に入れていただきたい買い方であり、ファンドの買い方のコツだと思っています。