はじめに
投資は時間軸を「長期」に設定する
投資や資産運用の2番目のルールは、「長期目線で投資すること」です。特に仕事や家庭に忙しい現役世代の場合には、短期のリターンではなく、長期的なリターンを目指すことが効果的です。
よくある失敗は、将来に向けてじっくり投資をしているのに、短期的な相場の動きに一喜一憂し、大きなリスクを取って投資しすぎてしまったり、逆に資産運用をやめてしまうことです。
世界全体のさまざまな資産に幅広く分散投資をするときには、中長期的に世界経済の成長を上回るリターンを目指しているはずです。しかし金融危機などにより、資産が少なくとも一時的に大きく減ることもあります。マイナスになった資産を見て「これ以上損をしたくない」と運用資金を預金に移すと、リターンがマイナスのまま資産運用をやめてしまうことになります。
リーマン・ショックの時に、株式などを底値で売却してしまい、その後の株価の回復を見て後悔した人は少なくありません。(後から、「リーマン・ショックの時に底値で投資しておけば良かった」と誰もが思いますが、当時、投資をしていた人は、それがどれほど難しいか、ご存じだと思います。)
このような失敗の理由は、人間の脳は短期的な成果に大きく反応するからです。場合によっては中毒になることすらあります。SNSの「いいね」の数をチェックしてしまうのも、友人のチャット上の反応がどうしても気になってしまうのも、私たちの脳の仕組みのせいです。(SNSは、短期的な成果に過度に反応しがちな人間の脳の仕組みのおかげで急速に普及しました。)
つまり、長期目線で投資することは、私たち人間の脳の仕組みからすると、とても難しいことです。冷静に考えると、相場が下がった時は、割安で投資できるチャンスです。頭ではそう理解していても、資産がマイナスになるとつい感情を揺さぶられます。脳に邪魔されずに長期投資を行うには、私たち人間の脳の仕組みをよく理解し、相場が動いたときこそ長期目線を意識することが大切です。