はじめに
考えられるリスクは長生きと住宅の老朽化
一方で、敢えて考えられるリスクは女性の長生きリスクと住宅の老朽化です。
2021年9月に発表された100歳超えの日本人の数は8万6,510人となり、51年連続で増え続けています。この年、初めて男性の100歳超えが1万人に到達しましたが、全体の9割となる7万6,450人は女性です。圧倒的に女性が長生きになっているのです。子育てが終わり自立した上で、万が一ご主人が早くに亡くなられることがあると、非常に長い期間一人暮らしをする可能性もあります。その上で、先にお伝えしたとおり家のランニング費用(管理費・修繕費など)が嵩んでくると、資産が減っていく一方になります。また体力の衰えや、病気、認知症のリスク、介護を受ける可能性も十分にありますので、どこまで行っても不安は消えないと思います。
不安があるのであればストレスフリーでできる仕事をするのもあり
人生100年時代と捉えた時に、49歳という年齢は折り返し地点に過ぎないことを考えると、まだまだやれることは多くあるのでは無いかとも思います。リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット著『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略』(東洋経済新報社)によれば、「無形資産」とよばれる次の3つの資産が100年時代を生き抜くのに重要であるとされています。
・生産性資産 仕事のスキルや知識、仲間、人的ネットワークなど
・活力資産 健康や愛情・家族・友人・コミュニティなど 活力を与えてくれる源泉
・変身資産 新しい意向を成就する力、変化に適応する力など
特に長い期間をうまく生き抜いていく為には変身資産が重要と言われています。
そういった意味で、現状の環境の中にどこかに不安があるのであれば、仕事を再開してみるのも良い選択になるかもしれません。以前のように働きすぎる必要もないと思いますし、無理なことや嫌なことを続ける必要もないと思います。ご自身のやりたい仕事を、やりたい時にやりたいだけやれば良いと考えて、ストレスフリーに続けられることを探してみてはいかがでしょうか?厚生年金を得ることを目的に働くとなると、労働時間なども最低限決まってしまいます。そうではなく、ご自身のやり甲斐があることを通じて、生産性資産や、体力、コミュニティの形成、承認欲求を満たすことなどを目的に考えると良いのではないかと思います。
できればパートナーと家計状況を話し合う環境が理想
最後になりますが、長い人生の中でパートナーと人生のゴールや長期の目線がそろっていると不安は少なくなります。夫婦で将来のプランやお金の話をして目線をそろえると、ご主人からも「厚生年金の為に働いたら?」ではなく、「やりたいことをやったら?」などと、アドバイスや応援をもらえるかもしれませんし、「それだけ資産があれば安心」と特に何かを言わずに自分の仕事に邁進されるかもしれません。夫婦でお金の認識がずれていると、意識や相手を思いやる気持ちや出方も変わってきます。家計は「家のはかりごと」ですので、ご夫婦で資産や家計の状況などについてよく話し合われると、パートナーとしての信頼感も高まり、不安も少なくなると思います。どこか参考になれば幸いです。
連載「みんなの家計相談」でお悩み募集中!読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのFPが答えます。相談はこちらから。