はじめに

バフェットの目的は「お金が増えていくのを見ること」?

物質的なものは、確かにお金がないと手に入りませんから、お金は不要だなどとは決して思いません。生きていくためには、お金は必要ですし、ないよりはあったほうがいいのは明らかです。しかし、よく言われるように、「お金は手段であって、目的ではない」のです。

私も若い頃(20歳くらいの頃)、フェラーリが欲しくて仕方がありませんでした。当時、フェラーリの308GTBという車種があって、それは中古でも、程度の良いものは1000万円くらいしていました。ですから、「1000万円」というお金が、今では考えられないくらい、喉から手が5本くらい出てきそうなくらい欲しかったです。

でも、それは1000万円というお金が欲しかったのではなく、フェラーリ308GTBを買って、それを「所有する歓び」と、それを「乗り回す愉しさ」が欲しかったのです。つまり、「1000万円というお金」は、「(フェラーリ308GTBを買うための)手段であって、目的ではない」のです。

よく「お金持ちになりたい」という言葉を耳にしますが、それは「手段」です。そして、「お金持ち」になって、「どうなりたいのか」が本題です。

もし「お金持ちになることそのもの」が「目的」だとしたら、それこそ「守銭奴のイヤな奴」でしかありません。「オレは『お金持ち』なんだ! どうだ、すごいだろ!」とでも言いたいのでしょうか。それでは、最悪ですよね。

ちなみに、「お金持ち」といえば、その代表格の1人が、かのウォーレン・バフェット氏です。株式投資の神様と称される大富豪です。バフェット氏にとっても、やはり「お金は手段」に過ぎないと思うのです。

バフェット氏は「お金が増えていく様を見るのが好きだ」といって、世界屈指の大富豪になるまでお金を増やしました。そんなバフェット氏でも、お金が増えていく様を見るのが「目的」であって、お金そのものは、「(増えていく様を見るための)手段(というか、まさにツール)」でしかなかったのだと思います。

お金が増えるほど、嬉しさの効率が悪くなる

ちなみに、「お金持ちは素敵だ」といっても、ある一定の線を越えると、「お金は5倍になっても、嬉しさは1.2倍くらいにしかならない」ので、あまり多くのお金を求めようとするのは、とても非効率です(なお、こういった議論をする場合の「お金」とは「ストックとフロー」の二つの面で捉えなければなりません。「ストック」とは、「保有する純資産額」のことで、「フロー」とは、「手取りの年収」のことです)。

たとえば手取りの年収が「200万円」の場合と「1000万円」の場合は、額面通り嬉しさ(=人生の愉しさ)も5倍になるかもしれませんが、手取りの年収が「4000万円」の場合と「2億円」の場合を比べると、嬉しさ(=人生の愉しさ)は額面通り5倍にはならず、「1.2倍くらいしか嬉しくない」のです。

手取りの年収が4000万円もあれば、もう充分に人生を愉しめるので、2億円もの手取り年収はいらないのです。そんなにあっても、人生の愉しさは5倍にも大きくはならないのです。

年収を4000万円から2億円にしようと思うと、嬉しさ(=人生の愉しさ)は額面通り5倍にはならず、「1.2倍くらいしか嬉しくない」くせに、数倍から数十倍の苦労や努力が必要になりますから、とても非効率ですね。

ここで、「手取りの年収が4000万円もあれば、そりゃいいに決まっているさ!」という声が聞こえてきそうですが、これはわかりやすい例です。4000万円とまでいかなくても、ある一定の満足な水準まで達したら、そこから先の満足度の増加分は、驚くほど少ないです。

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