はじめに
体調の回復を第一に考えて傷病手当金で療養を
どんな病気で、どの程度仕事に支障があるのか、ご相談者さんが長期間仕事を休むことで職場にどの程度の迷惑がかかるのかなど、まったくわからないうえで回答しているので、「そんなの無理!」と思われたらごめんなさい。でも、ここで無理をして我慢をしながら働き続けることで、持病がもっと悪化してしまう可能性があります。その時、困るのはご相談者さん自身です。深刻化してからでは体がつらいばかりではなく、治療費ももっとかさんでくるでしょう。治療費の負担は老後資金の計画を狂わせますし、休めるうちに休養を取り、病気は治せるうちにしっかり治すことが重要です。
会社員には、「傷病手当金」という制度があります。療養のために会社を休むあいだ会社から十分な報酬が支払われない場合、連続した休業4日目から最長1年6カ月まで、入院か在宅療養かにかかわらず、標準報酬日額の3分の2を受け取れます。毎月、月給の3分の2を受け取れると思えばいいでしょう。社会保険料の支払いは引き続き必要ですが、傷病手当金自体には税金がかかりません。いまのまま働き続ける場合や有休に比べると収入は減少しますが、会社を辞めてから治療を始めても受け取れないお金です。会社員でいるうちに、しっかり治療に専念しましょう。
これまで会社員としてしっかりと責任を果たしてきたご相談者さん。今回は、その会社員という立場を活用して、療養と向き合ってみませんか。療養を終えて、体調が改善したら、再び同じ会社で働けば今と同じ給与をもらえます。一時的にお休みを取ることには、周囲への迷惑だったり、戻ったときのポジションだったりと数々の心配もあると思います。しかし、無理をして仕事を続けて、会社を辞めてしまってからでは、ふたたび同等の仕事に就くのは困難です。トライする価値はあるでしょう。
なお、傷病手当金を受給し始めてから療養のために退職した場合、傷病手当金の受給期間が残っていれば退職後も受給を続けられます。詳しくは全国健康保険組合「傷病手当金について」を参考にしてください。
療養期間中もほとんど貯蓄の取り崩しはない見込み
続いて生活費を見ていきましょう。手取りベースでの年収は450万円(25万円×12カ月+150万円)になります。一方の生活費は、月々12万円×12カ月=144万円です。
この差額を見ると、年間300万円以上貯まっているようですが、貯蓄を見ると5万円×12カ月+100万円=160万円となっています。140万円以上が行方不明になっていますね。
これは推測ですが、毎月5万円ずつを積立貯蓄して、毎月の生活費は12万円を基準に節約生活を送っている。ボーナスからも100万円はしっかり貯蓄している。残ったお金は基本的に無駄遣いはしないものの、暮らしているとイレギュラーの支出は何かと出ていき、あとは投資に回したり、貯蓄したりして手元にも残している、そんな感じではないでしょうか。
イレギュラーな支出なども考慮したいため、ここからは仮置きで、年間で実際に使っているお金を200万円(1カ月あたり16万6,000円)程度と考えて進めていきます。
今後、療養のために休職した場合、傷病手当金として現在の3分の2の収入を受け取れると考えると、概算で16万6,000円になります。現在の生活費とほぼ同額になりそうですね。療養中は貯蓄こそできなくなりますが、治療にかかる費用が加入中の保険から賄えるのであれば、貯蓄を取り崩すことなく療養期間を送ることができそうです。