はじめに
ボラティリティの本質を理解しよう
ボラティリティは常に拡大と縮小を繰り返しています。拡大し続けることはありませんし、縮小し続けることもありません。つまり、変動サイクルの中でボラティリティ拡大は至極当然であり、最大のボラティリティを想定した資金管理やロスカットを備えておけば、決して大きなリスクとはならないのです。
また、ボラティリティを知る上で最も重要なポイントは相場との相関性です。ボラティリティ同様、相場においても変動サイクルが存在します。レンジで売り買いのエネルギーが溜っていた相場はいずれ拡散していきますし、トレンドがどれだけ長く続いていてもいつかはレンジに入ってきます。
下記の図はドル円の3カ月ボラティリティ平均と日足のチャートです。青色の線がドル円の3カ月ボラティリティ平均で、グレーの線がドル円日足の値動きです。ボラティリティ下降局面ではレンジ相場となり、ボラティリティ上昇局面ではトレンドが形成されていることがわかります。この相関性こそが、ボラティリティトレードの鍵となるのです。
実戦でボラティリティトレードをしてみよう
ボラティリティが低下した相場が続いた場合、トレーダーは価格が動かないことに慣れてしまい、レンジの上限や下限で過大にリスクを取る人が増えてきます。そして、あるときボラティリティの上昇とともにポジションが一気に解消されることで、大きなうねりとなってトレンドが発生していきます。
これがボラティリティ上昇時にトレンドが発生する原理です。つまり、ボラティリティの変化からトレンドを読むことができるのです。
注意点として、「ボラティリティが高い」とは相場が特定の方向に向かいやすいということではありません。方向感は一切考慮に入っていないため、上昇トレンドか下降トレンドかを判断することはできません。
しかし、トレンドが発生した方向についていけばよく、方向を確認してからポジション構築をしても遅くはありません。ボラティリティ上昇時こそ、トレンドフォローで新規ポジションを構築する絶好の場面と考えることができるのです。
また、ボラティリティの上昇は、投資家にとって冷静な判断ができない局面でもあります。突如、大きく動き出したマーケットについていける参加者は少なく、多くの場合、ボラティリティ上昇の恐怖からパニック状態に陥り、ポジションを切り(決済)始めます。
たとえば下落局面なら、参加者の狼狽売りから、さらにダウンサイドを崩してオーバーシュートしていく展開を考えることができます。繰り返しになりますが、ランダムに動くマーケットの中で優位性があるポイントを見つけていくことが重要です。
ボラティリティ上昇時は、確度が高く、優位性のあるトレード状況を作り出してくれるのです。